肉を断つのが遅すぎました【頓珍漢問答(62)】
柴田博氏が「肉食が長寿の秘訣」と判断したのは昭和47年だそうです。それは、氏が当時東京老人医療センターに勤務していて、昭和47年に行った「100歳の調査」がきっかけだそうです。つまり、その調査で、全国の100歳以上の長寿者405人を対象に食事内容を聞き分析をしたそうです。その結果、「長寿者は肉を食べていた。菜食主義者は一人もいなかった」ということでした。この結果を見ても、100歳の長寿者が日本食をベースに頑丈な体を造り上げてきたことが分かりますよね?その当時の100歳といえば、みな明治生まれ。子供の頃、そうして青年期、壮年期、初老の時期まではおそらく肉の常食はしていなかったことでしょう。肉を日常的に食べるようになったのは、早くても昭和30年以降ではないでしょうか?また、柴田氏は「肉を食べていた」とは言っていますが、「バリバリ食べていた」とは言っていません。当時の100歳長寿者の肉の消費量は今よりはずっと少なかったのではないでしょうか?それに「菜食主義者はいなかった」と言っていますが、当時「菜食主義」という考え方が日本人にありましたでしょうか?つまりね?肉は体に良くない、あるいは、肉を食べるなんて動物がかわいそうだ、という意識は、ほぼ100%の日本人にはなかったのではないか?ということね?肉が出回り食べられるようになったから食べるようになった。ただそれだけの現象なのですよ。だから、「肉は健康にいいのだ、だから食べるのだ」という意識もなかった。ただ手に入り、食べられるから食べるようになった。当時でも肉を食べていながら100歳以前に亡くなった方もいるでしょう。そういう人の方が多いですよね?肉が嫌いで食べなくても100歳以前に亡くなった方もいるでしょう。肉を食べなくても100歳以上生きた方もいたかもしれません。柴田氏のサンプルに入らなかっただけで。要するに、昭和47年当時も現在も100歳以上まで生きる人は、個体差として頑丈な肉体を持っている。それだけのことに過ぎないと、ぼくは思っているんです。だから彼らは肉を食べようが食べまいが、酒を呑もうが呑むまいが、煙草を吸おうが吸うまいが、長生きしているんです。しかしこれから先はこうは行かないでしょう。現在100歳以上の人が日本に25,000人より少し多くいます。(正確な人数忘れちゃった)その9割が女性だそうですが。でね?あと30年経ってから100歳以上の人にインタビューしたら、「肉をバリバリ食べている」という人はかなり少なくなることでしょう。そうして50年後の100歳以上の長寿者には、「肉をバリバリ食べている」という人はほとんどいなくなることでしょう。なぜなら彼らは20歳前後から日常的に肉を食べ始めているからです。50年後といったらぼくは103歳です。もしそれまで生きて、インタビューを受けたら、「52歳の時から肉も牛乳も乳製品も一切摂っていません。これこそが長生きの秘訣です」と答えることでしょう。さらに付け加えて、「肉を断つのが遅すぎました。初めから肉を食べない食育をしてもらっていたらよかったです」と言いたいですね。