森進一の代表曲「おふくろさん」騒動。事の始まりは皆さんもご存知の通り、森進一が台詞を一部追加して歌っていた事がどうも作詞家の川内康範氏を激怒させたらしいが、我々聴く側の人間からすればそれほど怒り心頭するほどの事でもないのにと思ってしまう。大抵の人は(わたしだけかも知れないが)おふくろさんの作詞・作曲が誰なのか知らない。演歌に興味が無ければなお更のこと。今回の騒動で漸く知ることが出来た。歌にしろ書籍にしろ世間に出てしまえば著者や歌手の想像を遙かに超えて一人歩きして行くものである。しかしそれにしても川内氏もかなりの頑固者と思えてくる。口も利きたくなければ顔を見ることすら拒否しているようで、このままでは「おふくろさん」が涙流して二人に向かって「どちらもいい加減にして」と怒っているような気がする。ヒット曲であればあるほど、大勢のファンの心を掴み名曲と呼ばれるようになる。そして歌の好きな人間なら誰しも口ずさむし、物まねもされるだろう。そのうち捏造されて替え歌まで出来上がってくる訳だ。作詞家・作曲家・歌手はまず誰もが好んで口ずさんでくれるような曲を作りたいと思っているのではないだろうか。たまたま「おふくろさん」のイメージが森進一と重なったから出来上がった曲であり、どちらが欠けても誕生はしなかった。歌とは何か、みんなが楽しんで歌える歌、共感し、涙をながし、誰が歌ってもよい曲が名曲ではないのか。日本には著作権侵害問題が最近厳しく語られ始めては来たが、今回の騒動でさすがのJASRACも頭を抱え込んでいるようだ。しかし日本の音楽業界で利益を貪るJASRACの悪質な徴収方法がトラブルを巻き起こしている面も伺える。森進一の代わりに「おふくろさん」を歌わせて欲しいと名乗り出ている演歌歌手「吉幾三」青森から方言を上手く取り入れた「おら東京さいくだ」を引っ提げて一躍人気者になった彼の青森弁「おふくろさん」を一度聴いてみたい気もするが、青森弁では駄目だと川内大先生に怒られるかも知れない。