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吾が輩は野良猫である

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2011.05.04
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テーマ:ニュース(100226)
カテゴリ:その他
 5月2日オサマ・ビンラディン殺害の一報が世界中を駆け巡ると、このニュースを聞きつけた人々がグランド・ゼロに次々と集まり、歓喜の雄叫びを上げていた。

 コードネーム「ジェロニモ」と称された如何にもアメリカらしいこの電撃作戦は、米海軍の特殊精鋭部隊「シールズ」によって決行され、作戦そのものは僅か40分と言う短時間で終結した。

ビンラディン死亡の確実な情報が伝えられ、ほぼ同時に公式の場に姿を現したオバマ大統領の演説は「正義」を貫いたアメリカの勝利宣言と受け取っても差し支えない内容だった。

 作戦そのものは約2年前から極秘裏にCIAを中心にして、ビンラディン包囲網が敷き詰められ、入念な作戦成功へのシュミレーションが幾度となく行われていたが、ビンラディンの身柄確保か殺害かで意見は分かれていたようである。

 9.11同時多発テロの犠牲者や遺族の立場から見れば、殺害と言う結果は決して喜ばしい内容ではなかったのではないだろうか。

 サダム・フセインの時のように、やはりここは身柄確保を優先し、然るべき形で裁きを下す事こそが真の正義であり民主主義であるとわたし思う。

 半ば強制的に行われた作戦の裏にはアメリカの大儀と立場を揺るがすような9.11への疑問も見え隠れするのである。

 同時多発テロの首謀者とされる本人を殺害すれば、まさに「死人に口なし」。事件の真相は永久的に解き明かされる事なく、陰謀説だけが一人歩きし都市伝説となって人から人へと語り継がれて行くだけだろう。

  彼の死によって世界に平和が訪れ、より安全になったと思うのは早計過ぎる。逆説的に捉えればこの死によって彼自身が彼の熱狂的な支持者たちの手で「神格化」され、恒久的にイスラムの神として崇拝されて行くといった、オサマ伝説の始まりを意味するものとして捉える事も出来る。

 そのように考えて見れば、今回の「ジェロニモ」作戦はアメリカを窮地に追い込む結果となり、ビンラディンの亡霊に怯える日々が今後も続くという事であり、決して楽観視出来るものではない。

 七つの顔を持つ男と言われたビンラディンには、その名の通り多くの影武者も存在する。深夜に決行された作戦そのものは暗闇の中であり殺害された男が本人であったかどうか疑問も残る。

 報道ではDNA鑑定によりビンラディン本人と断定しているが、水葬と言う形で葬られた今となっては遺体の検証すら出来ない。

 ソ連によるアフガン侵攻時、ビンラディンはCIAの庇護下にあった。そしてまた彼に武器を与え、義勇兵として訓練したのもアメリカ自身だった。アメリカのシークレットを知りすぎた男、それもまたオサマ・ビンラディンのもう一つの顔だったのである。

 何れにせよアメリカを悩まし続けた男が法の裁きも受けず、アメリカの流儀によって抹殺され、アメリカ自身が抱き続けてきた忌まわしい過去とともに海の藻屑と消えた事だけは確かである。






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Last updated  2011.05.04 16:56:26
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