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ヘンリーの国際関係学

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February 12, 2006
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開発と環境はトレードオフの関係にあるのだろうか。

だとすれば、
豊かさの代償として、環境は悪化することになる。

だが、
その豊かさを享受できない貧困層は、
環境悪化のために健康を害し、更なる貧困の悪循環へとつながるという悪循環に身を置くことになるのではないか。

健全な生活環境こそ、「豊かさ」ではないのだろうか。



免許取得に合宿に来ていながら、免許用の勉強はそこそこに、空き時間はもっぱら本を読んでいる。

今日、読み終えたのは、
大野拓司・寺田勇文 編『現代フィリピンを知るための60章』(明石書店、2002年)

冒頭の文も、その文章を参照したものだ。



フィリピンでは、スペイン植民地下時代の大土地所有制がまだ尾を引き、
更に開発独裁で名を馳せたマルコス大統領時代に、取り巻きによる経済支配が起こり、
今も貧富の差がひどく大きく、潜在失業率は40%と云われる。


首都マニラ近くには、スモーキーマウンテンと言われるゴミの島がある。
ゴミから発生するメタンが燃え続け、煙が絶えず上る。
そんな場所だ。

そこには、ゴミを回収して生業を立てる者が生活する。
その数は決して少なくない。
だが、スモーキーマウンテンを訪れた日本人はこう口を揃える。

「なぜ、あのような生活の中で、笑顔でいられるのだ?」


健康にいいはずの無い環境の中で、彼らは生活する。
「笑顔の生活だからいいのだ」と云って良いのか?

答えは出ない。


だが、そのゴミは「消費」の残りであることに考えを巡らすと、
豊かさの代償としての健康を害する環境悪化である気がする。




他にも例がある。

1991年、熱帯低気圧ウリンが6500人を超える死者を出した。
同年、それより大きなその年最大の熱帯低気圧は死者100人だったにも関わらずである。

この背景は、やや複雑だ。
ただ、「(一部の者の)豊かさの代償である」と考えれば単純かもしれない。

この惨事の原因は山地林の減少・劣化にある。

川上の山地林が商業伐採や違法伐採によって切り開かれていた。
流出した土砂は、河口に堆積し、中州が出来あがる。
そこには、危険地域ながらもスラムが形成された。

そして、低気圧が呼んだ豪雨は、スラムを襲ったのだ。
土砂・切り株・倒木が流され、まず水路が堰き止められた。
限界を突破したとき、鉄砲水となり、河口に流れ込む。
それが、河口の中洲にあるスラムに直撃。未曾有の大惨事となった。

だが、スラムに住んでいたのは誰か。
実は、かつて(川上でもある)山腹で農業をしていた人々であった。
伐採によって、山腹がサトウキビ農園に転換されたため、サトウキビ農園主に土地を譲らざるを得なくなった人々なのだ。


これは自然災害なのか、人災なのか。


自然は単なる引鉄でしかなかったんじゃないか。
どうしても、そう思えてしまう。



では改めて、これを考えたい。

「開発と環境はトレードオフの関係にあるのだろうか」



そうではない、とは思いたい。


だが、景気が悪化する毎に環境への関心が薄れているようにしか見えない日本の消費者を見ている限り(そういう結果を出したデータもあるようです)、

「生活に余裕が無い限り、環境は二の次になる」ような気がしてしまう。





「開発と環境は共存できる」

いつかはそう断言したいもんだ。
そして、それは不可能ではない。
不可能でないと思い続ける限り。





関連日記:「へんりのヒトリゴト(8)リサイクルって良いことですか?」






<ヘンリーのオススメ本>
まきこさんが掲示板に書き込んでくれたお陰で、久々に昔の日記を見ました。
そしたら、こんな企画があったなぁ、と思い出したので、ちょっと復活。

へんりのオススメ本:PRESIDENT

たぶん、購買ターゲットに20代は入ってない気がしますが、面白いっす。
国際関係とは違うけど、社会に出てからのことを予習できた気がします。

もちろん、やってみないと解らないことだらけだろうけどね☆


子育てに通じることも書いてたりして、うーむとか唸ってみたしています。





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Last updated  February 12, 2006 09:31:01 PM
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