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皆さんはこの映画をご存知でしょうか。私がこの映画に出会ったのは、中三のとき。ちょうど、人種差別のことを調べていた時でした。うち学校はちょっと変わっていて中学生にして卒業研究ってものがあって、まぁ中学生がやるものなので適当にやろうと思えばいくらでもできるようなものだったのですが、当時HIPHOPに出会ったばっかりの私は、この研究にかなり力を注いでいたことを覚えています。
さて、私のテーマは人種差別とBlackMusicの関係だったのですが、そのときに出会ったのがこの映画。そのとき私は、黒人をアメリカ社会の被害者という意識でしかものごとを見ていなくて、その中で生まれたHIPHOP、それに限らないAfrican-Americanの文化そのものを本当に尊敬していました。だけど、この映画の観点は違います。本当にこれを見たときは衝撃でした。いままでの自分の観点を覆されて、どんなに自分がひとつの方向からしか物事を見れていないかに落胆しました。 この映画は、主人公が黒人に父親を殺されて、それから過激な白人至上主義に走るという話なのですが、主人公はそのあとに恨みを買った黒人を殺してしまいます。そこで、刑務所に入るのですが、そこで彼の価値観は崩れ去ります。仲間たちに裏切られ、結局彼の受刑中に心の支えになっていた人はたったひとりの黒人の友達でした。この映画は本当に色んな人に見て欲しいので結末は言いません。 ずっと大好きな映画だったのですが、大好きすぎて私にはなかなか見られなくて、昨日DVDを買ったので覚悟を決めて見ました。どうも、さらりと見られる映画ではないのでそれなりに気合が必要でした。そして、アメリカに居てみるとまた全然違うなぁと思いました。 主人公が言うように、「人種が絡んでいない事件なんてアメリカにはない」というのは事実なのかもしれません。私は黒人文化が好きで、それを追いかけてここまできましたが、彼らは被害者でもある代わりに加害者でもあるということを忘れてはいけないと思います。このままいくと黒人の成人男性の3人に一人は受刑者になるそうです。この事実は、黒人の貧困問題や家庭環境の問題、複雑な要素がからんできますが、同時に彼らが起こした事件の被害者が居るということも絶対忘れてはいけません。アメリカ社会では、自分たちが迫害されていたという意識を持ってそれを悪用しようとするマイノリティの人々もいるのです。黒人はほかの人種を差別してもたいした問題にはならないけれど、白人が黒人に対して差別用語を使ったらどうなるか、ただじゃすまない、そういう公式はすでに出来上がっています。だから、それを使って自分を被害者に見せるやり方の味を占めている人もたくさんいるんですよ。 信じたくないけど、この国では生まれた瞬間からある程度の待遇が決まっているというのは事実なのかもしれません。そんなのは不公平すぎて日本人には信じられないけれど、そういう世界は色んな場所にあるのでしょう。もちろんそれを超えて素晴らしい人もたくさんいるし、もっともっと大事なことがあるのは私たちにはわかっているけど、現実を見れば理不尽なことばかりではないでしょうか。 この映画はたくさんの疑問を投げかけてきます。人間には、この映画の主人公のタトゥーのように大きすぎる代償をかかえても償わなくてはいけない、消えない罪もあるのかもしれないし、自分の人生をひっくりかえすような出来事がまだまだ先で待ってるのかもしれません。すべての人種の人々の見て欲しい映画です。これが本当のアメリカです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.11.15 04:26:16
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