カテゴリ:経済
日本の環境に対する産業界の技術は世界に貢献できると思います。中国、インドにどんどん技術提供してほしいです。その代わり、その技術で綺麗になった分だけ、日本のCO2排出量を減額した事になるよう、提案すべきではないでしょうか。 以下記事転載 長いです。 環境特集:脚光浴びる日本の技術、CO2削減交渉の切り札か (ロイター)
[東京 26日 ロイター] 真っ黒な原料炭が赤々と燃えるコークス炉。インド最大手の鉄鋼メーカー製鉄所のラインをみて、日本の鉄鋼メーカーの技術者たちが静かに息を飲んだ。 1000度超のコークスが冷めるまでライン上に放置されているからだ。「これでは20年以上も前の日本と同じではないか」──。国内設備では、窒素ガスをコークスに掛けて冷ますと同時に水蒸気を発生させ、タービンを回して電気を作っている。急速な経済成長を遂げるインドだが、省エネルギー技術には後進性を見た気がしたという。 多くの国際機関で、日本企業の持つ省エネ・環境技術は、掛け値なしに世界一と認められている。新興国や途上国が「のどから手が出るほどほしい」という宝の山が、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス削減をめぐる国際交渉の舞台で、日本の有力なカードになろうとしている。「切り札」とともに外交下手の日本が、国際社会に持ち込もうとするCO2削減のための「セクター別アプローチ」。この2つが今、環境をテーマにした国際会議でスポットライトを浴び始めた。 <トップダウンのEU方式、積み上げ方式のセクター別アプローチ> 北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)でメーンテーマの1つになるCO2削減は、先進国や新興国・途上国が負担をどのように分担するかが最大の懸案だが、日本は「セクター別アプローチ」の導入を提案している。 この手法では、鉄鋼や電力などの産業ごとに国を超えてCO2の排出がどれだけ削減できるのかを計測し、国別に総量目標を積み上げていく。欧州連合(EU)が「トップダウン」で国別総量目標を表明したのに対し「ボトムアップの積み上げ方式」とも呼ばれる。具体的には、生産単位当たりの消費エネルギーが多い途上国の産業設備に、省エネルギー化が進んだ先進国の先端技術を移転し、地球全体の排出量抑制を図るというやり方だ。 環境問題での主導権発揮を意気込む福田康夫首相は6月9日、包括的な温暖化対策「福田ビジョン」を発表し、その中でポスト京都議定書の枠組み作りに「地に足の着いた議論を開始する段階」と述べるとともに、セクター別アプローチによる目標設定は「政治的なメッセージではない、現実的な解決策」だと強調。2020年に1990年比で20%の温効果ガス削減の方針を早々に打ち出したEUをけん制した。 一方のEUは、日本が2020-30年をめどとする「中期目標」をトップダウンで掲げないことに不信感を抱いている。デンマークのヘデゴー気候エネルギー担当相は16日に「中期目標を持つことが必要だ」と述べて、暗に福田首相を批判した。 <中国・インドを巻き込む日本の戦略> 日本がセクター別アプローチにこだわるのは、EUへの対抗意識だけではない。新興国・途上国を巻き込まないと、現実にCO2を削減できないという強い危機感が産業界に根強い。2005年時点で全世界の排出量は、首位の米国が21%で2位が中国の19%。インドは4%を占めて日本に並び、すぐに追い抜くのは確実だ。途上国の拡大で京都議定書の削減義務国の比率は全世界の29%まで低下している。日本だけが削減の努力をしても始まらない。むしろ日本をしのぐ排出国でありながら省エネ技術が十分に進んでいない中国とインドには、多くの削減余地があるのではないか--との思いが、日本の産業界首脳の底流に流れている。 日本鉄鋼連盟で環境・エネルギー政策委員長を務める新日本製鉄<5401.T>の関沢秀哲副社長は「鉄鋼業では、中国の製鉄所で(排出の)改善ができる」としてセクター別アプローチの有効性を強調する。先進国が途上国の設備のエネルギー効率を診断し、CO2の削減可能量を計測し、先端技術を移転していく。「こうした動きを産業界に広げれば、どうしたらCO2が減るかという現実の解が得られる」と強調する。 関沢副社長は「2020年の中期目標はセクターごとの積み上げをやって国際比較した上で作ることが大事だ。政治的にえいっと決めると、京都議定書の二の舞だ」と話す。さらに「世界に比べて日本だけが(排出削減の)負担が重くなると、メーカーは海外で作らなければならなくなる。これは産業の国際競争力上、日本にとって良いことなのか」と語り、国内企業の過度な負担を警戒する。 世界の鉄鋼メーカーの国際競争が激化する中、上位メーカーで京都議定書の排出削減義務を負っているのは日本の新日本製鉄<5401.T>とJFEスチール(JFEホールディングス<5411.T>)だけ。首位のアルセロール・ミタル<ISPA.AS>は、削減義務を負うEU内での生産は3分の1にとどまり、韓国・ポスコ<005490.KS>、中国・宝山鋼鉄、米国のUSスチール<X.N>は削減義務国ではない。京都議定書の採択時から中国の粗鋼生産量は5倍に拡大、日本の4倍の規模に膨らんだ現実もある。
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