よく、感じが良いと言われる。
さっぱりしているし、あまり人とぶつかったり、もめることはない。
マナーも、敬語も、挨拶も、割と気をつけている方である。
大抵の人には、良い印象を持ってもらえる。よくしてもらえる。
しかし、たまにふと、こんなことを考えて、わからなくなる。
自分は、本当に感じが良い人間なのか、
はたまた、人とぶつかるのが怖くて、もしくは面倒臭くて
さっぱり感じの良い「仮面」をかぶっているのか?...と。
これもまた、大げさではなく、本心である。
実際、私は、人間関係のトラブルを極力避けるために
これらの「敬語、マナー、感じの良さ」を、自分を守る為の
「防具」として使っているのでは、と感じることがよくある。
とりあえず、こちらの落ち度は、全部消しておこう、といった感じである。
例えば相手がたまたま、ものすごく感じの悪い人であったり
理不尽に怒るような人であっても、
「相手がそんな人なんだから、こっちだって言ってやったわよ!
あ~、スッキリした!!」
なんていうセリフは、死んでも言えない人間だ(笑)
こちらが「完璧」でもない限り、例えどんなに変な相手でも
自信を持って責めることなど、どうしてもできない。
しかし、いつだってたいてい、「自分は120%完璧だった!!」など
言いきれることなど、ないものである。
従って、どんな時でも常に、反省が自分へ向かうこととなる。
もしかして、何か自分にも悪いところがあったか?
...と、思ってしまうのである。
やや考えすぎかな~、と、思ったりもする。
例え心中に打算があろうがなかろうが、表に出てきている
性質が「さっぱりいい人」であり、事実それで実に多くの人に
好印象を持ってもらい、うまくやっていけるのだとしたら
それで十分「いい人」であることにするか…?
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...そんなことを考えていたら、ふと、学生時代、海辺の旅館に
住み込みで働いたときのことを、思い出した。
恐らくあれは、私の人生で最も集中的に、「おばさん」という人種と
交流した時期だったと思う(^^ゞ
おばさんは強し。よく働き、よく文句を言い、そしてたくましい。
ちょっと抜けたかわいいおばさん、オーナーの旦那に堂々と文句を
言いながら、陰でよくお菓子を食べさせてくれたおばさん、
ちょっと難しい人だと思っていたけど、最後の日に優しい言葉を
かけてくれたおばさん。
最後の夜、仕事を終えた後、私は思ったのだった。
いい人も、悪い人も、この世の中には、いないのだ。
ただ単に、「いろんな人」がいるだけなのだと...
この人は、いい人なのか?悪い人なのか?
そんなふうに捉えようとすること自体、本当は間違いなのかも知れない。