「悩める」坂月の人生に、今、ものすごいことが
起こっているんです。
それはね、信じられないんだけど、何と、
人生でやりたい仕事が、見つかったんですよ。
あぁ、本当に、こんな日が来るなんて、なぁ...
何だか、不思議で、ね。
あんなに悩んで、もやもやして、たまに見つける
小さな砂粒でも、これが砂金かもしれないって、
いろんなものに「天職」という希望を見出そうとしていたのに、なぁ...
本当にくるときは、こんな感じなんだね。
不思議なんだけど、今までのように、焦りに後押しされたような
「うわついた」興奮は、ないんですよ。
そうじゃなくてね、心の中で、静かに、情熱の火が
燃えている感じなの。
そして、その火が、時間の経つごとに、どんどん強くなっていく。
そんな感じ。
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そして、驚いたことに、
それが見つかってからというもの、あんなにも毎日
私の心の中を渦巻いていた、私の日々書く膨大な文章の
源ともいえる、心の中の悩みの声が
ぴたっ と、止まってしまった。
そして、その代わりに、その日から
「これを、これから、さぁどうやって叶えていこうか」
それだけを、ただひたすら、考えるようになった。
もう、ただモヤモヤしただけの、形も出口もない、悩みじゃない。
もっともっと、人生に正面から向かった、前向きな質の悩みに
変わったんだ。
あぁ、これが、自分の人生を生きているっていう、感覚なんだ。
今それを、感じている。
不安はあるんだけど、でも、前と同じじゃない。
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でも、それでも今日は、あることで、ちょっとイライラしていた。
先に進みたいのに、行けない。そんな感じ。
でもね、そんな気持ちのままじゃ帰れなくて、大好きな図書館へと向かった。
今からだって、できることをやってやる!
その分野の勉強をしようと思って、関連の本を
借りられる上限の10冊いっぱい抱えて、カウンターに向かった。
■■
今日の私の神様は、そこにいた。
そのカウンターの女性は、閉館間際なのに、嫌な顔もせず
「おっ、ギリギリセーフってとこかなっ」
と言いながら、私のリクエストした本を探してくれ、そして
笑顔で、貸し出し手続きを行ってくれた。
そして、
「はい、重いですよ。ありがとう」
と言いながら、10冊の本を差し出してくれた。
嬉しかった。
嬉しくて、その人の手続きする様子を見ながら
いつもは恥ずかしくて、あんまり人の目をまっすぐ見られないんだけど
これは絶対、目を見てお礼を言おう!と思っていて
最後に本を受け取りながら
「どうもありがとうございました!」
と、その人の目を見て、笑顔でお礼を言った。
その人も、目を見てやさしく笑ってくれた。
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自転車のかごに10冊の本を入れて、私は帰り道、
嬉しくて笑顔だった。
あぁ、やっぱり、神様は、見てくれてる。
今日は、最後の最後で、あの人に宿って、私を待っていてくれた。
でも神様にばっか感謝していると、あの人自身に感謝できなく
なっちゃうから、あの人への感謝も忘れないようにしよう。
本当にありがとう!!
そう思いながら、家へと自転車で風を切って坂道を降りていった。