イエスの喜びと満足のために☆

結果に対して開かれた態度をもつことです。こうした態度でまつことは、私たちにとってつらいものです。というのは、私たちはとても具体的なもの、また自分が手に入れたいものを待ちたいという傾向があるからです。私たちが待っているのは、ほとんどの場合、次のような願望が満たされることです。「就職できたらよいのに」「天気がよくなればいいのに」「この痛みがなくなればいいのに」
私たちは願いごとでいっぱいです。そして私たちが待つときは、これらの願望にすっかり絡みとられてしまいます。ですからそのおおくは、開かれた態度ではありません。むしろ、未来を思い通りに操作しようとする生き方になります。私たちは、未来がきわめて限られた方向に進むことを望みますし、もしそれが実現しなければ失望し、ときにやけを起こしてしまうことさえあります。

これこそ、なぜ待っている時間がそんなにも私たちにつらく感じられるかの理由です。すなわち、自分の願っているような出来事が起きて、自分がしたいことをしたいと思うからです。この点で私たちの抱く願いが恐れといかに繋がりやすいものであるか分かります。
しかし、ザカリヤ、エリサベト、マリア、シメオン、アンナは「願望」で満たされていたのではありません。彼らは「希望」に満たされていました。

希望とは、とても特別なものです。希望とは、何かが実現することを信頼することですが、それは神の約束に従って実現するのであり、単に私たちの願いにそって実現することを意味しません。ですから希望をもっている人は、いつも開かれた態度をもっています。

私は自分の人生で、自分の願望を手放し、希望を抱くことが重要であることを学びました。私は、自分の願いを手放そうとしたときだけ、何かしらまったく新しい、自分の期待を超えた何かが起こることを経験してきました。

マリアの言葉、
「私は主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように」
マリアはここでこう言ったのです。

「これがいったい何を意味しているか私にはわかりません。でも、きっとよいことが起こるだろうと信頼します」
マリアの信頼はとても深かったので、その待つ姿勢は、すべての可能性に開かれたものでした。そして、それを自分で操作しようとは思いませんでした。ですから、天使の言葉を注意深く聞いて彼女は信じ、これから起ころうとしていることに信頼を置くことが出来ました。

開かれた態度で待ち望むとは、人生に対して思い切った態度をとることです。それは、自分の身に起ころうとしている想像もおよばないことに信頼することです。それは、自分の将来を操作しようとすることを手放し、自分の人生を神に決めていただくことです。それは私たちの抱く恐れによって生きるのではなく、神は、ご自身の愛によって私たちを形造ってくださるという確信をもって生きることです。


ヘンリーナウウェン