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2008年09月03日
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      私は、麻原被告も、オウム真理教の実行犯の人たちも、恨んでいない。恨むなどという無駄なエネルギーをつかって、限りある自分の人生を無意味にしたくないのである。(本文より)

 

   この本のはじめに、藤永孝三という人物のことが書かれてある。

 彼は河野氏の自宅の庭をたびたび手入れするために訪れている人物だが、彼は松本サリン事件の実行犯ではないにしろ、河野さんの家の隣の駐車場に撒かれたサリンガスを噴霧する車を製造した人物である。

 裁判で10年の刑が確定し、刑期を終え出所。その彼が、毎月のように河野さんの家に来て庭の手入れをし、河野さん自身もたびたび彼と一緒に庭の手入れをしたり、そのお礼にと釣りに連れて行ったりしている。

 驚きだった。

 自分の運命を変えた人物の一人であり、また、そして、奥様もいまだに寝たきりの状態が続いている最中であるのに関わらず、謝罪に訪れ、ガチガチに体をこわばらせた彼を見て気の毒に思い、恨み言一つ言うことなく、彼を居間に通していた。

 「ここに尋ねてこられる立場ではありません。でも、早く花束をもって訪れたいと思っていました。」とそういうのが精一杯の彼に対し、河野さんは

 「そんなに硬くならなくていいよ」

と彼の緊張をほぐすように雑談をし、落ち着いたのを見計らい、次のように切り出している。

 「それにしても、何で捕まったの?逮捕されたきっかけはなんだったの?」と。

その訳を聞き、さらに、

 「あんたもツイてないね」・・と。

 

 河野さんにとっては、妻の回復を願うことがすべてであり、彼がやったことに対する恨みは何一つない。彼が刑期を終えていること、社会的な償いは終わっている。と語る。

 彼が何をしたかより、逮捕されてからの話が聞きたいと、話が続く。

 

 藤永君が、刑務所の生活の中で身に着けた植木の剪定作業の話を聞き、それで河野さん宅の庭の手入れをすることに。

 驚く藤永君に対して、自宅の鍵の場所を教え、 

「好きな時にきて、自由に庭の手入れをしてくれれば大助かりだわ。僕がいなくても冷蔵庫にビールぐらいは入れておくから、勝手に飲んで、泊まっていってもいいよ。寝る部屋は2階に用意しておくから」と笑いながら話をしている。

 もちろんそれだけではなく、河野さんの子供たちも彼を受け入れ、交わりは今も続いているのだ。

 彼は河野さんの庭の手入れをするとき、必ずゆりの花束をもってきてくれること。それは奥様の澄子さんの好きな花であり、澄子さんのベッドサイドにユリを活け、手足のマッサージをする。

そんな彼を河野さんは傍らで、澄子さんの存在が、彼の新たな人生の大きな後押しになってくれることを願っている。

 澄子さんに対しても、同時に彼からのよいエネルギーをもらっていることを信じているのである。

 

 赦しということを深く考えさせられた内容だった。赦すということが、たとえ言えたとしても、心の中に記憶している相手の過ちをいつまでも打ち消すことが出来ずに苦しむことが多いのではないだろうか。ゆえに相手の顔を見る事さえも辛かったりするのが普通・・・。

 彼はクリスチャンではない。しかし、彼自身、松本サリン事件のはじめの容疑者と疑われ、警察からだけでなく、マスコミ、世論から散々たたかれ、このまま死んだほうが楽だろうな・・と考えたほどの困難を通る中でも、人生の一こま、と事件をありのままに受け止めている彼の姿があった。しかし、その中で彼の無実を信じて支えてくれた人々の存在と、何よりも寝たきりになってしまった澄子夫人の存在が、彼を支え続けた。

 河野さんは、麻原被告に対しての恨みも消えてしまったことを話しています。

 

 「こんなにもひどい被害を受けたのに、この上さらに事件の首謀者を恨み続けるような人生の無駄はしたくないと考えているからだ。

 人を憎んだり、恨んだりすることは、限りある自分の人生をつまらないものにしてしまう。さらに、その行為はとてもエネルギーがいることだ。それだけのエネルギーを使うなら、澄子の介護を含め、もっと別なより有意義なことに使いたい。それが私の本音である。」

この本は、松本サリン事件に関わった、藤永孝三さんとの交流から始まり、松本智津夫氏の死刑判決確定への思いや事件渦中での家族の様子、などが綴られてゆきます。

あとがきの彼の言葉を引用します。

 

  「私は、人は幸せになるために生まれてきた、といつも思っている。幸せが何であるかは人それぞれであるが、私にとっては色々な仕事を経験することにより、多くの人に会い、世の中を知ることだ。それゆえ、結婚後、6年をメドに仕事を変え続けてきた。安定を嫌い、いつも新人でいる。ドキドキ、ワクワクしている人生こそが、自分にとって、もっとも居心地のよい環境だった。

 ところが、1994年6月に起きた「松本サリン事件」で私や家族は犯罪被害をうけ、さらに、事件の被疑者扱いを、警察やマスコミからうけた。その後、警察を管理する公安委員の仕事にもついた。それらも、望んでいたドキドキワクワク野人生には変わりないが、あまりにも予想外の出来事だった。人の想いは具体化すると言われているが、必ずしも自分の望んだ方向ばかりではないことを思い知らされた。社会的にも家庭的にも崩壊してしまう状況ではあったが、それらを乗り越えることができたのは、意識不明の妻からの無言の励ましや、周囲の人たちからの温かい支援が何よりも大きかった。さらに、私の楽天的な性格も幸いした。どんな状況になっても、「ケ・セラ・セラ」つまり、なるようになるのだから、心配しても仕方がない。すべきことは全力を傾け、結果は天にゆだねてしまう、そんな姿勢を通すことができたからだ。

 人生は限られており、しかもいつ終わるか分からない。将来を心配するよりも、今ここにある幸せを見つけ楽しむ。人を恨まず憎まず、たとえ今日死んでも「あ~おもしろかった」と言いながら自分の人生を閉じることができるように生きたいものである。」

 

 

「今ある状態に満足し、感謝して生きていくことができるのなら、わたしは、それはとても幸福な人生だといえる。

 あの事件以降、ずっと意識混濁状態が続いている澄子は、もう何度も危篤の状態を迎え、そのつど、それを乗り越えてきた。脳の萎縮が進み、いまは脳幹のまわりにほんの少しだけ大脳が残っているという状態なのだ。

いまも松本にいるときには、私は毎日澄子のところに通っている。

 歯磨きとマッサージをし、私自身のこと、子供たちのこと、社会で起こっている話題のニュースなど、いろいろな話をする。おそらく、澄子の記憶に空白の部分はなく、私と同じ時を刻んでいてくれると思っている。そして、帰り際に必ずこう言って帰る。

 「澄子。あなたが私たち家族を支えているんだよ。世の中の人たちの中にはつらい人生を歩んでいる人もいるが、負けずにがんばっている澄子の姿に、支えられ、励まされているんだ。そんな手紙を僕は何通ももらったよ。あなたは寝ているだけだけど、とても大きな仕事をしているんだよ。」

 私は、自分も生きている意味がある、ということを澄子に自覚してもらいたいと思っているのだ。

 「自分はみんなからこんなにも頼りにされているんだ。」

 無意識の中でもそう感じることが澄子の生きる力になっていると、私は信じている。

 澄子の危篤状態が続いた時、本当にいつ駄目になるかも分からないと、私は覚悟を決め、その時の心の準備をしているつもりだった、しかし、いざ実際にそうした事態に直面すると、やはりうろたえてしまうのだ。人間は弱いな、と思う。

 澄子は、もう14年も生き続けている。それは本人にとっては辛いことかもしれない。わたしたち家族が、澄子に生きてほしいと願う気持ちは、澄子に負担を強いていることなのかもしれない。しかし、たとえそうであっても、わたしは澄子に一日でも長く生きてほしいと願っているのだ。澄子と共有できる時間を少しでも延ばしてゆきたい。それが、今の私の一番の望みなのである。」

                    本文より

 

 

  河野義行さんオフィシャルホームページ

       http://www2k.biglobe.ne.jp/~ndskohno/

 

 

 

 






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最終更新日  2008年09月04日 11時03分05秒
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