ONJO・2009年東京公演
大友良英ニュー・ジャズ・オーケストラ @新宿ピットイン 大友良英ニュー・ジャズ・オーケストラ are 大友良英(g),カヒミ・カリィ(vo),青木タイセイ(tb,fl,笛),Sachiko M(sinewaves),水谷浩章(b),宇波拓(computer),芳垣安洋(ds),石川高(笙),大蔵雅彦(as、笛),高良久美子(vib) 東京では2008年4月アサヒアートスクエア以来のライヴ。今年の東京はこれが最初で最後らしい。てなわけで会社のイベントの準備に追われ、神宮外苑花火大会のおかげで前進困難な道のりを抜け出して来た。やはりステージも客席にかわり、普段の客席スペースに3かたまりに分かれた配置。大友さんのMC用とカヒミさんのヴォーカルマイク以外、マイクらしきものは見当たらず。ミュージシャン傍らのアンプからの音、もしくは生音での演奏。宇波さんがPCを駆使してスピーカーにいろいろのっけて出す音、段ボールを動かして出す音、は、彼が床に座り込んで操作しているためになにやっているのかよく見えない(笑)!その辺の意外性がけっこー楽しい。芳垣さんの鳴り物をドラムにのっけて転がす音も、視覚に入ってくるのに時々びっくりする(笑)。身体の中央がまんまるくなったカヒミさんのハミングでさえも楽器の音のように空中に舞い、周りの音の中に溶けだす。『真夜中の静かな黒い川の上に浮かび上がる白い百合の花』と『Lost In The Rain』は演ったと思うけど、あとは長い即興だった気がする。茶色の空間に、流れる、沈む、弾む、漂う、切れる、飛び交う、たくさんの音。その空間をもう一度楽しみたいとの聴衆の要望に応えてくれたのは、時間をたっぷりかけたメンバーひとりひとりの告知MCと、「フレンドリーな感じで…(大友さん談)」という『CLOSE TO YOU』。悲しみを含んだ幸福感に満たされて大満足の一夜。湿気を含んだ地上に出ると、薄い雲をシェイドに満月が光らされていた。ワタシのきもちにも靄(もや)がかかっていてなんとなく満月とおそろいの気分になり、すこしほっとした。