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山口雅也さんを読むのは初めてかもしれない。 何度か、設定が面白そうだと『生ける屍の死』を手に取ってみたけれど なぜか読み始めるまでに到っておらず…ああ、早く読了しないと! ミステリーランドシリーズの一冊である『ステーションの奥の奥』は 新聞評を読んで面白そう!と思いました。 吸血鬼に憧れる小学6年生の陽太と、陽太の叔父で物書きの夜之介は、 東京駅大改築の取材に出かけた。だが、駅の構内で無残な死体を発見。 さらに、宿泊していた駅ホテルの部屋で密室殺人が! 陽太は名探偵志望の級友・留美花と真相を追う。 (ダ・ヴィンチ 2007年1月号掲載文より) 死体発見の場面が(子供向きには)強烈かも…と思いましたが 後半の謎解きの部分になってくると腑に落ちるといいますか、 「なるほど~!」と納得いきます。 突拍子が無いようでいて整合性があるといいますか(笑) 東京駅が物語の主な舞台となっているのですが、 この本を読み終えたら「東京駅を探検してみたい!」と思う読者が子供にも 大人にもいるんじゃないかな…と思えるところがこの本の一番素敵なところだと思います。 「本当にこんなふうに人に知られていない通路や部屋があるんだろうか」とか…。 わくわくしながら歩いてみたい。 そんな気持ちが湧いてくるところがいいな♪ それにしても子供向けのミステリーを書くってとても難しい作業だろうな、と思います。 「自分が子供の頃はどんな本を読みたかっただろう」と振り返りつつ 書かれるのだろうな…と想像しますがこれをいざ自分に置き換えてみると とんと思い出せなかったりするのです。 「子供の頃の気持ちを忘れない、そんな大人になりたい」と願っていた筈なのに かなり忘れてしまってるなあ…という自分にがっかりします。 ミステリーランドシリーズを読んでいると、作家の人たちのそういう部分が ときに透けて見えて胸が苦しくなったりします。 子供の頃に面白いなあと思ったこと、忘れたくない。まだ忘れてない。 伝えてあげたい。そんな気持ちが結構ストレートに伝わってくるのです。 大人が読むには、描写に物足りない部分もあったりするのですが ほろ苦い感傷が言外に感じられたりして…ミステリーランド、やっぱり読破したい(笑) 未だ刊行されてない作家さんも残り少なくなってきました。 京極夏彦さん、恩田陸さん、北村薫さん、加納朋子さん…がどんな作品を 示してくれるのかすごく心待ちにしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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