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「蝦蟇倉市事件2」で既読の作家は北山猛邦さんと米澤穂信さんだけです。 「…1」を読んだ時、唯一、伊坂幸太郎さんだけが既読でしたが 「あ、今度はこの作家さんの別のお話も読んでみたい!」と思う出会いが多かったので 2巻目もそれを期待して読みました。 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 海と山に囲まれた、風光明媚な街、蝦蟇倉。この街ではなぜか年間平均十五件もの不可能犯罪が起こるという。マンション、レストラン、港に神社、美術館。卒業間近の大学生、春休みを迎えた高校生、会食中の社会人、休日を過ごす教師。舞台も人も選ばずに、事件はいつでも起こっている─。様々な不可思議に包まれた街・蝦蟇倉へようこそ!今注目の作家たちが、全員で作り上げた架空の街を舞台に描く、超豪華競作アンソロジー第二弾。 【目次】(「BOOK」データベースより) さくら炎上(北山猛邦)/毒入りローストビーフ事件(桜坂洋)/密室の本─真知博士五十番目の事件(村崎友)/観客席からの眺め(越谷オサム)/消えた左腕事件(秋月涼介)/ナイフを失われた思い出の中に(米澤穂信) 2巻目で最も印象に残ったのは米澤穂信さんの「ナイフは失われた思い出の中に」でした。 随分前に米澤さんの『さよなら妖精』を読んだので、だいぶ記憶も薄れていたけれど このお話自体15年前を回想させるような描き方がなされていたので、 読んでいてとてもしみじみした気持ち、懐かしいような、寂しいような気持ちになりました。 事件も単純な謎解きに終わらず、それぞれの人が抱えている想いと重ね合わせるように 語られていくので、なんとも深い味わいが残りました。 他に収録されている作品はどちらかというとコミカルな語り口の作品が多かったので この作品が1,2巻を通じて最後に収録されたのは物語の終わり方として良かったんじゃないかなと思います。 もう一度『さよなら妖精』を読み返したいなあ…という気持ちで本を閉じました。 他の作品も読み甲斐のあるものが多かったです。 北山猛邦さんの「さくら炎上」。 殺人という行為と、その動機のアンバランスさ。独特の語り口が印象に残ります。 「そんな理由で…?」と言ってしまうのは簡単だけど…。 同じような思いを自分も切実に感じたことがあったじゃないか…と思うと単純にわりきれなくて。 収録作品中もっとも切なく、映像的なラストでありました。 「これ好き!」という作品だったのが桜坂洋さんの「毒入りローストビーフ事件」。 ほとんど、主要登場人物三人の会話で推理が重ねられていくのだけど 一人ひとりの個性の書き分けとか、どんな見方も出来そうな推理の展開とか 過程の部分をうんと楽しませてくれる作品でした。 次点が「消えた左腕事件」、「密室の本~」でしょうか。 1,2巻を通して、大山誠一郎さんの作品から飛び出した真知博士はいろんな作品で大活躍でした。 「消えた左腕事件」のラストで示唆されたことが、今後実際に起こりうるのかはわからないけれど 別の作家さんが、自分の生み出したキャラクターを動かしたり、 未知なる事件に巻き込まれていくのを読むのはなかなかスリリングな出来事なんじゃないかと思います。 蝦蟇倉市事件(3)があるのかどうか!?わからないけれど、 一つの街を舞台にしたこういうアンソロジーが企画され、書かれたことは それ自体すごく面白い“事件”だったと思います。 柊の読書メーターは→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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