テーマ:映画館で観た映画(8567)
カテゴリ:とにかく印象が鮮烈☆
凄まじい映画だな…というのが率直な感想です。 内容が衝撃的なものであることは原作を読んでいるので知っていましたが…。 物語の展開以上に、 「あの、小説を!こんな風に映像で撮ることが出来るのか!!」と…。 監督・脚本をつとめた中島哲也監督の演出力はすごい。凄すぎる。 映像のすべてが、「告白」する登場人物たちの心象風景を表しているよう。 青みを帯び、鮮やかな色彩を失った背景も。 鏡越しに見る、傍観するような視線も。 ゆっくりと時間が流れる…時が止まったような閉塞感も。 息苦しくなるほどの緊迫感は、原作を読んだ時の緊張感そのもの。 正直、『告白』が映像化されると知った時は、こんなきつい内容の物を一体誰が 観に行くんだろうと思い、松たか子さんが教師役と聞いた時は、あんな優しい雰囲気を 持った女優さんが、はたして冷酷な役柄を演じきれるのだろうかと思ったものです。 いい意味で、期待を裏切られるとはこういうことか~と思います。 中学生が物語の主人公でありながら、R15指定のため高校生以上でなければ鑑賞できない。 …ときくと思いだすのは映画「バトル・ロワイヤル」。 公開当時、故深作監督がインタヴューにて若い人たちに「受付かいくぐっても観に来い!」 と叫ばれていたのを思い出します。 残虐な場面が、フィクションとして受け止めきれない若い人の心に悪影響を及ぼす事はあるかもしれない。 だけどそうじゃなくて。 故深作監督は残酷なシーンを取り沙汰して欲しいんじゃなくて、 観る人すべてに命が軽んじられる設定や、状況や、理不尽さに対して 怒りを感じて欲しかったんだと…監督の言葉を柊はそう解釈しています。 そういう意味では、この映画も同じで、 「人と人の繋がりってこんな希薄なものなのか!?」とか たくさん疑問や理不尽な思いを観る人に抱えて欲しいんだと思います。 だけど哀しいかな。 そういう受け止め方が出来ない人が、増えてきているように思うのも確か。 それに、自分の娘たち(中学生)にこの作品を薦められるかと問われたらやっぱり迷うと思う。 友達や、親や、先生を…他人を信じられる気持ちがちゃんと育っている子供なら この作品を観て気持ちや考え方が左右されることはないと思うけど。 だけどこの内容を面白半分に捉えるような人がいたら、それはかなり怖いことだと思う。 少なくとも、興味本位だけで観れる作品じゃないことだけは確かです。 どの役も、演じるのは相当きつかったと思います。 憎しみも、臆病さも、鈍感さも、自己愛も、本当は全部他人の目からは隠しておきたい感情だから。 それを体現し、演じ切ってみせるのだから俳優という職業は怖ろしい…。 何より1年B組の生徒達を演じた子供達…きつかっただろうな。 正直に「告白」しますと、柊はこの映画もう一度観に行きたいなと思っています。 きっつい内容ではあるけれど、映像という形にして真正面からこの題材に向き合おうとした 中島哲也監督の演出を、もう一度、観たい。 *映画の公式HPは→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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