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『危険ないとこ』ナンシー・ワーリン著 【内容情報】(「BOOK」データベースより) ぼくのいとこ、リリー。リリーは何かかくしてる。十一歳の少女に、いったいどんな秘密が?─あやまってガールフレンドを死なせてしまったデイヴィッドは、高校生活をやりなおそうとやってきた街で、新たな悪夢に出会う。1999年エドガー・アラン・ポー賞に輝く傑作サイコ・サスペンス。 最初、なかなか小説に入っていけなかったのは、訳文に馴染めなかったから。 無理にイマドキ10代後半男子の話し言葉にしなくてもいいのにな。 罪の意識に苛まれている人物がこんな軽い口調で話していて違和感ないかなーと思ってしまいました。 でもって、読み終えてみると題名と内容にも違和感が…。 『危険ないとこ』なんて言われて、どれだけ危ない人物が登場するんだ…わくわく!! ってやたら期待値を高めていたのに、ちっとも…危険な感じがしないだもの。 いや、確かに普通とは言い難いかもしれないけど。 でもそれは『危険…』という表現とは違う気がする。 主人公のデイヴィッドも、そのいとこのリリーも自分の過去と罪の意識に囚われている人物。 情緒不安定になったり、他人とのかかわり方に常に脅えを感じながら なんとか今を過ごしている。 重い主題で描かれているのだけど、結末には思いがけない救いと、未来が予感させられていて 読後感は悪くないです。 最初から“贖罪”というテーマに沿った邦題がつけられていたら良かったのに…なんて そこだけちょっと残念に思いました。 『あなたに贈る×(キス)』近藤史恵著 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 感染から数週間で確実に死に至る、その驚異的なウイルスの感染ルートはただひとつ、唇を合わせること。昔は愛情を示すとされたその行為は禁じられ、封印されたはずだった。外界から隔絶され、純潔を尊ぶ全寮制の学園、リセ・アルピュス。一人の女生徒の死をきっかけに、不穏な噂がささやかれはじめる。彼女の死は、あの病によるものらしい、と。学園は静かな衝撃に包まれた。不安と疑いが増殖する中、風変わりな犯人探しが始まった…。 ラストについて賛否両論あり…うーむなるほど。 閉塞感のある独特な物語設定や、ラスト手前の謎解きまでの描写については一切文句なしなのですが。 確かにあのラストには気味の悪さと、ざらざらとした寒気を首筋に感じてしまい うええと思ってしまいました。 途中それを予感させる描写が伏線のように張られていたとしても何だかねえ…。 生理的に受け付けませぬ。 これがYA向けに刊行されているってこともちょっと引っかかりを覚えるところです。 以下、ラストの内容に触れるので伏字に致します。 いやー、相手が彼女の思惑通りに発症してくれたらまだいいんですけど。 万が一にも相手もまたキャリアだったら…彼女はその先どうするんだろうってとこまで 柊は考えてしまいました。 彼女の母親もキャリアだろうし、意外に可能性はゼロじゃない気がして。 はっきり彼はキャリアじゃないって何処かに描写してあったならむしろ平然と読み終われた気がするのですが。 キャリアであるってことは殺人の手段を手に入れたってことだよね。 それに罪悪感を覚える人間ばかりならいいだろうけど、世の中そんなに甘くないですね。 とはいえ、もしラストが謎解き直後に終わっていたら、この物語はそんなに印象に残らない気もします。 そのへんは著者と読者との間の駆け引きかなあという気もします。 先日読んだ『薔薇を拒む』にしても『あなたに贈る×』にしても、ちょっと恩田陸さんの 作品を彷彿とさせるように感じました。 ただ、ラストの持って行き方や、作品に漂う湿度はまるで異なってる。 近藤さんの方が湿度が高く、恩田さんの方はドライでとことん乾いている印象が柊にはします。 柊の読書メーターは→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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