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『隻眼の少女』麻耶雄嵩著 推理が何度となく覆され、探偵役が突飛な格好をしていることも腑に落ちず あっさりと人が殺されては、対応が後手後手に回る…。 麻耶さんらしいようならしくないような…陳腐な印象もあったりして。 だけどなー。 柊はものの見事に真犯人には辿りつけませんでした。 「そ…そんなんアリですか。アンフェアではなかとですか…。」というぎりぎりのところを 突いてくるのが麻耶さんでしたっけ…。 「してやられた。」感より、呆然自失…に近いかも。 ハッピーエンド(?)を思わせるラストの一文もきわどく、あざとく 意地の悪いものを感じるのは、うがち過ぎでしょうか。 麻耶さんには「毒」を欲してしまうんです。 読み手の期待を裏切り、読者に謗られようとどこ吹く風。 登場人物が悪意にまみれていようが、非現実的な部分を突っ込まれようが おかまいなしなところに事件の真相を落とし込む神業が読みたい…。 柊も相当麻耶作品に被れているのかもしれません☆ 『シューマンの指』奥泉光著 描写の端々からピアノの音が聴こえてくる、そんな錯覚を覚えました。 どんな演奏であれ、それは現実的な演奏であるという理由で、「音楽」を台無しにしてしまう。 「音楽」は演奏などされずとも、もうこの世界にあるのだ、(P290) この本を読んでいるとき、実際に曲を聴いたりはしていないのに、 柊には確かにそこに描かれている「音楽」が聴こえていて、その存在を疑うこともなかったです。 目に見えない、耳に聴こえないものの存在を信じられる…そんな不思議な感覚を味わいました。 殺人事件とその真相。驚愕するラスト30ページの展開…。 確かにラストには驚かされたけれど、柊はそれ以上にここに描写されている シューマンのピアノ曲の美しさに心を打たれました。 ここまで一人の作曲家に傾倒し、没頭し、音楽をすくい取りたいと乞い希うなんてすごいと思います。 焦がれても、焦がれても触れられるのは一瞬で。 「音楽」の魅力は、その美しさと同時に存在する“魔”的な部分なのだなと思いました。 柊の読書メーターは→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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