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テーマ:介護のお仕事。(584)
カテゴリ:おうじの介護日記
訪問介護を辞めたいと思うのは、イイ利用者さんに出会ったとき。
出会ったときには、利用者とヘルパー。 この近くに感じる存在であっても、ゼッタイに埋められない溝、溝、溝。 月に2回だけ行くお宅がある。担当ヘルパーはわたしひとり。 96歳でひとり暮らしをしている男性Mさんは、 人間的に非常に魅力的な方なのだ。 買い物と掃除のために2週間に一度、午後に訪問。 「よく来たねえ。待ってたよ」と孫に接するような態度なのが印象的だ。 詩吟を詠い、毎日早朝に自転車で公園へ出かけて練習をする。 テープレコーダーで自分の声を録音、ストップウォッチで時間を計る。 毎月のように発表会に出たり、招かれたりと忙しい毎日らしい。 彼の話を聞くのが好きだ。 ひとりぼっちになった広い部屋の掃除を終えると レセプトを書くわたしに「何かおやつはなかったかなあ」と 部屋の中を探してくれる。 梅酒の作り方の話。 中国と日本の漢詩の違い。 詩吟の詠い方や音程の取り方などの話。 短歌の話や、日本の歌の話。 96歳の大先輩の話はいつもわたしをワクワクさせる。 そして、こういう話をもっと聞いていたいなあと思わせる。 だけどわたしたちは、利用者とヘルパーの関係。 おじいちゃんちに遊びに来た孫とは違って 仕事が終わったら、さっさと帰らなくてはならない。 仲良くなっても、入院したってお見舞いにも行けず 亡くなったからといって、葬儀に参列することも許されない。 こんなに近いのに、ドライな関係。 利用者さんとイイ出会いをするたびにこう思う。 「ああ、ヘルパーなんかやめちゃいたいなあ」 また2週間後、Mさんのお宅に行くことになっている。 今日は心臓の調子が悪いと、ニトロを飲んでいた。 明日は、詩吟の発表会に来賓で呼ばれていると言っていたけれど 無事に詠えればと、心の底から思っている。 *楽天日記のみなさん、お久しぶりです。 介護福祉士試験、受かりました。いま登録申請中です♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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