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脊髄小脳変性症を患っていることが分かってから5年ほどになる姑は、同時に脳血管型認知症も確認されて今に至る。
一昨年夏、すでに家の中でも伝い歩きになっている姑のため、義理家の自宅改修をしたところ、
工事期間中にショートステイ先の特養で転倒し骨折。
手術はうまくいったものの結局歩けるようにはならず、というか認知症があるためリハビリが進まず、一か月余りの入院生活の後、車いすでの生活になってしまった姑は、自宅での生活は不可能になり、
姑のために改装した家に帰ってくることはなく、特養の人になった。
今回は呼吸困難による救急搬送の上の入院で、前回を超える入院生活になろうとしている。

姑は周囲の人だれもが認めるやさしい人、ということになっており、実際確かにやさしい、のだろうと思う。
私に対してもやさしい人であったことは認めるけれど、そのやさしさは無意味なものでしかなかった。
和服を着用する必要がある夫に嫁いだ私には、嫁いだ当初は和服の知識がなく、教えを請うのは姑以外にないはずだったけれど
姑は私にやさしいため?か、はっきりと指示を出してくれることはなく、困惑した私が分からないなりに整えたものを提示するとそのままスルーで認めてくださった。
でもそれは、その場にそぐわない取り合わせであることがままあり、それを指摘し恥をかかなくて済むように教えてくださったのは古くからおられるお弟子さんたちであった。
お弟子さんたちにも姑の無意味なやさしさは、「ともかくもお優しい」という形で認識されていたのである。

やさしい姑はまた、実父の入院のためアルツハイマーの実母の介添えが必要になり、実家に泊まりこむと報告した時には、
何より息子の洗濯物の心配をし、食事の心配をしてくださったのである。
本当にやさしい人なら、実家の両親のことを一番に、口にして下さったのではないかと、今も私は思っている。

そしてやさしい姑は、「私たちは貴女のお世話にならないようにするのに」と決定事項のように将来を語り、
その後ほどなく、生活全般を私に頼るようになったのである。

また、やさしい姑は
「ポポ子さんは嫁いできたんだから御実家のことには口を出さないほうがいい」とお父さんが言っている。
「ポポ子さんが子供がほしいというのは、老後の面倒を見てくれる人が必要だからか」とお父さんが言っている。
「ポポ子さんが仕事を持つのは夫婦のすれ違いの原因になるからやめたほうがいい」とお父さんが言っている。
などなど、様々なことを舅の言葉として私に伝えた。
御自分の言葉としてではなく舅の発言、本当にそうおっしゃったかもしれず、違っていたかもしれず、

極めつけとして印象深いのは、夫の浮気をも「男の人にはよくあること」とやさしく認め
不妊治療で苦慮していた私に「結婚前から占いでポポ子さんには子供が授からないとわかっていたの」とやさしく諭してくださった。
さすがにこのとき私は絶句、言葉もなく電話を切ったことを昨日のことのように覚えている。

誰もが認めるやさしい人、だけど私にはそのやさしさは無意味。

二度目になる今回の入院生活でも、自分から食事を積極的にとらない姑に、一口づつ食べ物をすすめてとらせている私は、事情を知らない周囲の人から「娘さん」として認識されることもある、つまり、大変親身になってやさしく看護をしている。
と自分で言うのもなんだけど、実際確かに丁寧に、親身に、やさしくしているわけです。

姑は私に対して数々の言動があったことなど、少し前から忘れているようで、
自宅で生活していたころから、「どこで誰と暮らしたい?」とケアマネさんに聞かれると「ポポ子さんのところ」であった。

今入院している病院は実父がお世話になっていた病院なので、その時からの顔見知りの人たちの中には実母を覚えていてくださる方もあり(院内徘徊の探索などがあったため)間違われることはないのだけど
病室に顔を出すと安堵の表情を浮かべる姑を見て「娘さんが来ると表情が違いますね」などと言われ、訂正するのもめんどくさい時はスルーしていたりする。

家政婦さんに週に4日、残りの3日を昼食時から夕食を終えて就寝準備をするまで私が担当しているのだけど
お世話をしているとふつふつと憎しみが増す。

実母は混迷期を経て今は素直な人になり、食事も自分できちんと最後まで食べられ、明るく陽気でありがたいけれど
姑は言語も不明瞭で食事も進まず、自分から意思を伝える事をせず、喉のチューブを抜いたり、点滴を抜いたりと、そういうことはできたりする。

私はこの場と、ごく親しいリアル友達以外には、姑の愚痴をこぼさないことにしており、それはトド(夫)にも同じ。

確かに仕事も忙しく、二月に倒れたこともあるトドに姑の付き添いはきついのだけど、私を信頼して任せているトドに、いつ首を絞めるかわからないような憎しみを抱いている私に看護させている危機感はない。

とりとめなくつらつら書いているけれど、要するに、私は姑が嫌いなんである。
自分で何も決めず、何の意思もなく舅に従ってきたかのような人生を、私は嫌悪する。
若いころは美しい人であったと聞くけれど、私が出会ったときは60に手が届くころだった姑は、絶世とは言い難い美女だった。
息子が嫁に見習わせたいと思うような手料理の一つもなく、家事全般見習うことが本当にない人。

偉そうなことを書いてるなと、思っている人もおられると思うけど、お姫様然として暮らしてきた人に、呆れることばかり多い年月だったのだ。

いずれにしても、そんな大嫌いな姑を看護している自分に、嫌悪しつつ日を送っていると、自分がばらばらになりそうで・・。
で、ガス抜きに書いているわけです。

姑は、もう今までいた特養に帰れなくなり、療養病床を持っている病院のいくつかから断られ、かといって医療病床に入院しなければならないような状態ではなく、行き場が無くなっている。
私の行動範囲内に、実母は絶対預けたくない病院、があるのだけど、最後はそこに決まるかもしれない。

もちろん決定するのは息子。
選択肢の中には在宅看護もあるのだけど、自分が手を出すつもりはなく、私の手を姑に取られることで仕事に弊害があると考えるトドは、最終病院でも良いとの結論を出そうとしている。
この病院では、自分で頻繁に喉のチューブを抜いてしまう姑は、二十四時間抑制されるだろう。危険だからね、
いまのように付き添わなくてもよい、と言われているので、私はせいぜい週に一二度、洗濯物を取り替えに行く程度になるだろうし
そういう生活だと姑も落ち着かず荒れるだろうから、「そういうお母さんに会っても仕方ない」とおっしゃる舅の訪れも間隔が開くだろう。
姑は坂道を転がるように、認知症状が進むに違いなく、おそらく食事も細やかに食べさせてもらえなければ体力も落ち、衰えていくことと思われる。

私は姑にやさしく「私はお家にお連れしようと思ったんですけど、トドさんが自宅で引き取れないとおっしゃっているの、御免なさいね」とそろそろ言うつもりだ。(笑)

看護も介護も、なんだかんだで十年近くかかわってきた私には、作業には慣れた感覚があり、
在宅は大変ではあるけれど、どうせ舅もこれから手がかかることを考えると、二人並べてのやり方もまた可能と思える
もちろん全部私一人でかぶるつもりはなく、介護保険をフルに使い、難病対策として受けられる地域のサービスも駆使し、家政婦さんも動員しての体制での在宅を考えているのだけど

そしてこの機会に姑を在宅することによってトドに恩を売り、実母の在宅をも模索したくもある。

ま、そんな感じで・・・ちょいと毒吐きでした。

今日は家政婦さんに病院をお願いしているので、そろそろ実母のところへ行きます。
桜、やっと咲きそろってきたので、お花見ドライブ
桜とママさんに癒してもらいに・・・行ってきます







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Last updated  2010年04月04日 11時49分21秒
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