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カテゴリ:恋愛
11月に入り。
空気もだいぶ冷たくなってきている。 ワインで火照った体にはちょうどいい。 二人でブラブラ歩いていた。 少し私より後ろを歩いていた肉下君。 とてもさりげなく。 手を握ってきた。 思わず肉下君の顔を見上げると。 「なに?」と言葉に出さず、表情に出して。 笑顔でこちらを見ている。 うむむむ。 こういうところが手馴れているな~と感心をさせられる。 思わずカピバラさんを思い出してしまった。 手をつなぐのに、毎回ちゃんと断りを入れてきたカピバラさん。 手をつなぐ、という一つの動作でも。 こんなに違う。 年齢ではなく。 年季と自信の差だと思った。 肉下君の手を振りほどくわけでもなく。 かと言って強く握り返すわけでもなく。 そのままされるがままに任せて。 もくもく歩いた。 そうして歩いているうちに。 また少し後ろを歩いていた肉下君にグッと引っ張られる。 引っ張られるまま振り向き引き寄せられると。 そのままキスされた。 その一連の流れ。 ほんと、フィギュアスケートの解説者だったら。 「いやー、きれいに決まりましたね~。ムリのない着地でした」 と褒めたいくらい。 さりげない。 そして、私拒絶していない。 ワインでぼーっとしているのもあるんだけど。 「キスされる」という予感を得る前に。 「あ、キスされた」と実感が遅ればせながらやってきた。 そんなキスでした。 一度、私が手をつなぐのをゆるし。 キスを受け入れたからか。 その後の肉下君のスキンシップは徐々に強くなる。 つないでいる手をこねくり回す。 キスをする。 腰を抱く。 抱きしめる。 髪の毛の匂いや体の匂いを嗅ぐ。 「欧米かっ」ってツッコミを入れたくなるくらい。 スキンシップ激しい。 かと言って、胸やお尻を触るということはしてこないから。 体は目当てでない? よくわからない。 正直、酔って少しぼーっとしているのもあるが。 そもそも肉下君をいいと思っているのは、正直私の方だと思う。 かと言って、この展開はどうよ、と思う自分もいる。 結局その両極端の気持ちを抱えていたせいか。 抵抗はしないものの、私は黙々と自分のペースで歩いた。 ようやく遠回りした駅が見えてきた。 ぎゅっと手を握ってくる肉下君。 ふと気が付いたが。 肉下君の手、温かい。 私「手、あたたかいね」 肉「うん、よく言われる」 あれ?と思って。 私「誰に?」 と聞いて顔をのぞいてみると。 肉下君の顔に「しまった」と書いてあった。 肉「フイさんにですよ」 と言ってごまかす。 さもありなん。 あれだけスムーズに手をつなぎ。 その後のスキンシップに持っていくには。 一体何人の女性を相手にしてきたんだ。 ただ、それを問い詰める権利はなく、立場でもない私は。 笑顔でその回答を受け入れるしかない。 駅に着いたときは。 少し悲しい気持ちになっていた。 肉下君。 久々に自分でもいいな、と思う素敵な人で。 しかも(珍しく)独身で。 向こうからも会いたいと言ってくれて。 待っていれば、いい出会いがあるもんだ、と。 できたら、このままスムーズにお付き合いにつながればいいと。 1回目のデートの後では思っていたのだけれど。 2回目のデートから雲行きがあやしい。 思った以上に、相手は女性慣れしていて。 エスコートもできるが、スキンシップが激しい。 彼の目的は、ただの女遊びなんじゃ? そういう目的でなくても。 ここまでできる人であるなら。 女の人には、ほんと不自由しない人であろう。 であれば、私はお呼びでない。 いろんな思いが胸に去来する。 スキンシップを重ねられれば重ねられるほど。 さびしくなる。 この日は笑顔で別れた。 メールでお礼を言って、また会いたい旨を伝える。 何回もこのまま、自分からメールはやめようと思った。 相手の様子をうかがうためにも。 これ以上自分が前のめりにならないためにも。 だけど、そう決めても。 すでに私は恋に落ちていた。 肉下君に会いたいと思う気持ちが大きく芽吹いていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.12.27 02:52:56
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