カテゴリ:健康 家族
訃報を聞いてから、浜松に着くまで5時間30分。
必死に運転し続けた。いつもだったら、『あ~疲れた。あ~腹減った。あ~眠い。』とボヤキながら、ちょくちょくサービスエリアでダラダラと過ごすところ、あの日は必死だった。軽自動車の長距離運転は非常に疲れるものだが、あの日は違った。疲れを感じなかった。本当に必死で運転し続けた。一刻も早く母親を兄に会わせてあげたかった。もうすでに亡くなっているのだから、ゆっくり安全運転で良かったのかもしれない。でも、やっぱり母親に会わせてあげたかった。兄嫁を一人ぼっちにさせたくなかった。 車の中で泣き続ける母さん。一年かけて覚悟を決め、心の準備をしてきたはず。でも、いざとなるとダメなものです。親より先に逝くことほど…親不幸はないな。僕は母さんに言いました。『もう兄さんは苦しまなくていいんだよ。耐えなくていいんだよ。楽になれたんだよ。』…やっと母親は泣きやみました。僕自身も本当につらかった。今、思う。あの時、母親のそばにいてあげられて本当に良かったと…。一人じゃなくて良かったと。 25時30分…浜松の兄の家に到着。 兄の亡骸にしがみついて兄の名を呼び続ける母親を見ていられなかった。僕はずっと咽び泣きつづけた。 兄嫁から亡くなる瞬間の様子を聞いたとき、『あっぱれ!あんちゃん!』…そう思った。 この日の午前中、看護士さんから「一ヶ月もたない。早まるかもしれない。親族に伝えた方が良い。」と言われた他に「もう歩けないと思う」とも言われたらしい。そうすると、当然トイレにも一人で行けなくなり、オムツをはくほかにない。そこまで体力的に追い込まれていたにもかかわらず、2度も一人でトイレに行ったとのこと。2度目のトイレで全力を使い果たし、そして果てたとのこと。 気位の高い、プライドの高い兄らしさを感じた。 自らトイレに行けない、自ら排泄できない、自分で下の世話ができない…こういうことを潔しとしない兄のプライド、『あっぱれ!』だと思う。もしかしたら、自分で心臓を止めたのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.03.08 20:37:42
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