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カテゴリ:NICUにっき
今、私は保育器のエリアに異動になり、
週数の浅い子どもたちのケアにあたっている。 小さい赤ちゃんたちは精一杯生きているが、 まだまだ授乳などは出来ないため、 必然的にお母さんたちとのかかわりは少なくなる。 そんな中、久しぶりにコットエリアに入った。 そこで1人のお母さんに出会った。 彼女は若い初産婦で、おむつ替えも抱っこもおぼつかない。 でも、彼女なりに必死に覚えようと頑張ってた。 授乳練習の終わりにはポジショニングの仕方もさまになり、 何とか数回吸啜することが出来た。 そんな彼女は私に向かって素敵な笑顔を見せてくれた。 なんとも嬉しそうに。 そんな彼女の姿を見ていて、 大事な気持ちを思い出した。 「お母さんに笑顔で育児をして欲しい。だから助産師になりたい」 助産師学校に入学してから今まで、 看護師として頑張って産科で働いてきた事が 意味の無いもののような気がしてずっと辛かった。 入職してからは同じ年の出来る助産師さんがいたことで その気持ちは倍増してた。 新卒で助産師の資格をとっておけばよかった。 何度もそう思った。 以前の産科で必死に勉強を重ねてきたことも、 看護師であっただけで認めてもらえない。 今までの経験が0になることが辛かった。 子どもを産んだ事でブランクがあることも辛かった。 もっとバリバリやっていれば経験が積めたのにとか、 ネガティブな事ばかり考えてた。 助産師と看護師の資格の違いにずっと戸惑ってた。 看護師であるだけで助産師に劣るのかなって、 前の病院で働いているときからずっと答えの出ない疑問を抱えてた。 たぶん、それが既卒のプライド。 プライドを捨てようとしても、 それは今までの自分を否定する事につながる気がして どうしても捨て切れなかった。 今日、お母さんの笑顔を見ていて、 私が何のために助産師になろうと思ったのかを改めて思い出した。 お母さんに笑顔でいて欲しいから。 お母さんが望む事が自分に知識や技術が足りないせいで 出来ない事が辛かったから。 お母さんが望むことをやらせてあげたかったから。 だから私は助産師になりたかった。 お母さんが笑顔になるために、今までの経験は役に立つ。 別にそれは看護師とか助産師とか資格なんか関係なくて、 自分がしてあげられることが、助産師になったおかげで増えた、 ただそれだけのこと。 それを思い出したら、自分が子どもを産んだ事が価値のあることに思えた。 出産育児を経験していることで、お母さんと話が出来る。 育児の小ネタだってたくさんあるし、それを教えてあげることだってできる。 思いを共感しあえる、愚痴を言い合える、それが素敵な事なんだって。 昔助学の先生が言っていた。 悩みはとことん悩みなさい。 最終的に答えはお母さんが教えてくれる。 本当だった。 あのお母さんの笑顔に、私は教えてもらった。 そして私は初めて思った。 助産師になってよかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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