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テーマ:ママの気持ち(578)
カテゴリ:サキのあゆみ
「そうだよ!サンタクロースはママなんだから、無理ばっかり言わないで!」
(し、しまった!ついに言っちゃった!) 「・・・ひどいよ、ママ」 「・・・・・」 そうです。小5の娘サキに、私はついに告白をしてしまったのでした。 *「親子で楽しんでくださっているみなさんへ・・・」 (今夜の内容は、サンタクロースを信じているお子さんには読まないであげてくださいね) 去年のクリスマス近い頃のこと。突然サキが私に尋ねてきました。 「ママー、サンタさんってパパやママなの?」 「(ドキッ!)えっ?ど、どうしてそんなこと聞くの?」 「だって、お友だちのNちゃんがそう言ってたもん。ねえ、そうなの?」 (ヤバイ!ついにきたか・・・いや、まだ半信半疑のようだし・・・) 「Nちゃんの家はそうなんだって?それはきっと、Nちゃんがサンタさんを信じられなくなっちゃったから、サンタさんが来れなくなっちゃったんだね。だからNちゃんの家ではパパやママがサンタさんの代わりをするしかなくなったんだね」 「じゃ、サキは信じてる!そしたら今年もうちにはサンタさん来てくれるよね?」 「そうだね。来てくれるよ」 (ほっ・・・) こうして何とか乗り切った去年でしたが、今年のサキは・・・ 「今年はサンタさんに、山をお願いしようかな?星もいいなぁ~。サンタさんは何でも持って来てくれるんだもんね♪」 と、親には到底叶えられないような無理難題ばかりを、聞こえよがしに呟くようになりました。 (もう、いよいよ卒業かな?) そんな矢先、オモチャ屋さんで可愛い人形を見つけたサキは、 「これ!サンタさんに頼むの、これにしよう♪」 (15,000円かぁ~。高いなぁ・・・。でも、山や星よりいいか) 「それと、ここにある着せ替えのワンピースをい~~っぱい♪」 (1着10,000円以上!?いっぱい、って?) 「サキ、それはちょっと欲張りなんじゃないかな?」 「え?なんで?だって、Yちゃんなんてこういう洋服も一緒にいっぱいもらったんだよ。ママがサンタでもないんだし~、ママがそんな風に言わないでよ!」 ブチッ!(知ってて言ってるでしょ~?) そしてとうとう私は言ってしまったのでした。 「ひどい」と言いながらも、サキは「やっぱりね」という感じ。落ち込んでいるのは、私の方です。そのまま2人で店を出て、1階のフードコートへ行きました。サキは私の目の前で、黙ったままクレープを食べ始めます。 「ねえ、サキ。いつかママに“ママにはどうしてサンタさんが来ないの?”って聞いたとき、“ママにもサンタさんは来るよ♪”ってママが答えたの、サキは覚えてる?」 「うん・・・」 「サキは毎年、サンタさんにもらうプレゼントを一生懸命考えてたよね。ウエストポーチやキティちゃんのおもちゃのパソコン、ゲーム機やローラーシューズ、、、中にはパパやママが“ダメ”って言ってたものもあったよね。 あ、前の日になって、突然欲しいものが変わっちゃって、ママ、閉店前のいろんなお店を必死で駆け回ったこともあったんだよ。 サキやヒデキに見つからないように、こっそり買いに行って、押入れや物置にそ~っとしまってね、2人がなかなか寝てくれなくて困ったこともあったなぁ~。 そうそう、ヒデキの自転車の時なんか、留守番電話に自転車屋さんからメッセージが入ってて、ヒデキに聞かれないように慌てて消したこともあったんだよ。 でもね、朝になって、目を輝かせてプレゼントを開ける2人の顔を見るとね、ママは本当に幸せだなぁ~☆って思うんだよね。サンタさんは、パパやママたちにそんな幸せいっぱいの子供たちの笑顔を届けてくれていたんだよ。それが、ママたちへの贈り物。 ママはね、失敗ばっかりだし、サキやヒデキの願いを叶えてあげられることなんて、なかなかないでしょ?でもね、サンタさんになる時は、2人の願いを叶えてあげられる。自分がとっても素敵な魔法使いになれたような気がして、それが嬉しくて嬉しくて・・・」 私は話しながら、毎年ハラハラしながらプレゼントを探し、ドキドキしながら2人の枕元にそっとプレゼントを置いたことや、子供たちの最高の笑顔を思い出し、いつしかポロポロ涙を流していました。 昔読んだ「サンタクロースの部屋」という本に、こんな一節があったっけ。 「サンタクロースを信じる能力、この能力はたしか、キャパシティーという言葉が使われていた。キャパシティーは、劇場の座席数を示す時などに使われる言葉で、収容能力を意味する。 心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中にサンタクロースを収容する空間を作り上げている。サンタクロースその人は、いつかそのこの心の外へ出ていってしまうだろう。だが、サンタクロースが占めていた空間は、そのこの中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎え入れる事が出来る。 この空間、この収容能力、つまり目に見えないものを信じるという心の動きが、人間の精神生活のあらゆる面で、どんなに大事かは言うまでもない。のちに、一番崇高なものを宿すかもしれぬ心の場所が、実は幼い日にサンタクロースを住まわせる事によって作られるのだ。 別にサンタクロースには限らない。魔法使いでも、妖精でも、鬼でも仙人でも、ものいう動物でも、空飛ぶ靴でも、打ち出の小槌でも、岩戸を開けるおまじないでもよい。幼い心に、これらの不思議の住める空間をたっぷりととってやりたい。」 「サキ、サキはサンタさんがいる、ってずっと信じてきたよね?」 「うん」 「ママはサキとヒデキの心の中に“サンタさんの住むお部屋”を作ってあげたかったの。 ママは子供の頃、自分が魔法使いになれる、と思っていたの。今でもお掃除や仕事が間に合わなくて“もうダメだ!”って思う時に、“魔法使いになあれ♪”って、心の中でそっと魔法をかけちゃうことがあるんだ。もうこんな大人なのに、おかしいでしょ?でも、そうすると不思議なくらいパワーが出てきて、スイスイできちゃうことがあるの。ママの心の中にはね、魔法使いが作ってくれたお部屋があるんだと思う。 サキの心の中には、サンタさんのでっかいお部屋ができたよね?サンタさんはもう卒業しちゃったけど、そのお部屋はこれから先もなくならないからね。 これまでママをサンタさんにしてくれて、いっぱい幸せをくれて、ありがとう☆ あ、あとね、お願いがひとつ。ヒデキや周りにいる、サンタさんを信じている小さい子供たちの夢と、そのパパやママたちの幸せを壊さないであげてね。」 サキはそっと目をあげて言いました。 「暴露サンタさん、大変だったね。ありがとう☆ サキはずっとサンタさんのこと、大好きだったよ♪ ヒデキがサンタさんに気づくまで、サキは“ヒデキの付き添い”ということで、1000円分の図書カードでいいよ。」 「ありがとう♪ん?でもそれじゃ、ヒデキがおかしい、と思うじゃない?サキにもちゃんとプレゼント用意するから」 「じゃ、ヒデキには一生サンタさんを信じててもらわなきゃ!笑」 「あははっ♪ちゃっかりしてるわね!」 ・・・こうして、サキはサンタさんから卒業することとなりました。 今にして思えば、本当に短い期間でした。 「子供がまっすぐ何かを信じる心」には、大人の私たちはたくさん勇気や元気を与えてもらいますね。 子育てに髪振り乱していた頃の私に、やっぱりサンタさんは毎年ご褒美をくれていたような気がします。最後はあっけない“暴露サンタ”となりました(笑)が、サキの心に大きなサンタさんの部屋が出来ているといいな☆と思っています。 ひなたまさみ ●「サンタクロースの部屋」 ~子どもと本をめぐって~ 松岡享子(こぐま社) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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