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テーマ:☆ボクシング☆(642)
カテゴリ:ボクシング
「パパ、うしろから誰かが追ってきてるみたい」
運転しながらバックミラーを覗いた主人が、後ろのバイクを見て、 「ああ、会社のヤツ(後輩)だ」 やがて車が止まり、バイクも止まる。 バイクの男が運転席の窓を激しく叩き、主人が外へ出た。 身長176cmの主人より遥かに背が高く、体重は軽く見積もっても100k以上だろうその男は、 よほど主人を恨みに思っているのか、主人の胸元をつかむと激しい罵声を浴びせ、今にも殴りかかりそうな勢いである。 (ふぅ~~っ。見ていられないわ…) 私はおもむろに助手席のドアを開け、 「ちょ~~~っと待ったあ 私が相手になるから」 と、主人の前に立ちはだかる。 そしてボクシングの構えを取ると、素早く左ジャブで相手のアゴを突く。 (しまった、届かない) 今度は相手がものすごい形相で殴りかかってくる 「やるか、やられるか…」 もう後へは退けない。 私はジャブ、ワン・ツーをひたすら打つ。 打って、打って、打ちまくるが、一向に相手の顔には届かない。 (こうなったら、ボディを打つしかない!) 男の腹部に渾身のパンチを入れると、ぶよぶよした感触が… (ん?五百久さんじゃないんだ!?) 男が苦痛に顔を歪め、前かがみになったその瞬間、 (よしっ!今だ!) 私は右手を力いっぱい握りしめ、右ストレートを男の左頬へ… バンッ! (よしっ、入った♪) 「うっ!!!」 ドサッ! 鈍い音を立てながら、男はスローモーションで地面へ沈んでいった。 (ふっ、終わった) …以上、私の見た夢の話。 ここのところ仕事が忙しかった上に娘が体調を崩してしまい、ボクシングジムへ9日間も行けなかった。とはいえ、ここまでリアルな夢を見るとは!? 最近、知り合いの高校生から借りて読み始めたボクシングマンガ『はじめの一歩』の読みすぎだ(笑)。 そしてついに、久しぶりにボクシングジムへ。 ロッカールームで着替えるとき、鏡にうつった自分の身体を見て、 (うわっ!?ぶよぶよは私だ…) トレーニングをしなくても、変わらない食欲。 毎食後、大好きなスイーツも食べまくったそのツケが、あまりにも残酷な現実となった。 (3kgは、確実に増えたな) シャドーを始めてみて、さらに愕然とする私。 (身体が… お、重いぞ…) 『はじめの一歩』どころか「3歩進んで3歩下がった」感じ。 (ふぅ~っ。こりゃ、また1からやり直しだわ) その日はいつものTトレーナーが休みだったため、代わりにジムの会長さんが、 「お母さん、ミット打ちやりましょう!」 と、ミットをつけ始める。 会長さんは、私の親くらいの年齢。 そのおじいさんが、なぜかいつも私を「お母さん」と呼ぶ。 おそらく、夏休みに息子と親子で通い始めたときの印象がそのまま残っているのだろう。 滅多に会わない私の名前など、いまだに知らないに違いない。 会長さん。 忘れもしない、初めてジムに問い合わせの電話をしたとき、 「お母さん、体重何キロ?」 と、いきなりとんでもない質問をしてきたおじいさんだ。 実際に会ってみると、とても気の好い好々爺。 おまけに故郷が私と同じ広島、ということで、すっかり意気投合してしまった。 息子のこともとても可愛がってもらい、私の中での会長の印象は急上昇 「あの~、今日は久しぶりなので、軽めにお願いします」 早速、弱気な申し出をする私。 「はいはい。いいですよ」 そしてミット打ちが始まった。 ジャブ、ジャブ、ワン・ツー… (ああ、この感じ♪ やっぱりボクシングは気持ちいいわぁ☆) そしてアッパーを打ったとき、 (そうだ!これよ、これっ♪ 夢の中で、どうしてアッパーを使わなかったんだろう? 忘れちゃってたのね。やっぱりアッパーが最高よね~) と思ったのも束の間、すぐに呼吸が苦しくなってきた。 (ハァッ、ハァッ、キツイ…。まいったなぁ~) と、そのとき。 会長がいきなり構えていた両手を下ろした。 (えっ、なあに?まさか、苦しいのがバレた!?) 「お母さん… 強いねぇええええ!!!! 何か(武道とか)やってましたか?」 「へ?いえ特には…」 (数ヵ月、空手をやったことがあるけど…) 「驚いたなぁ~!こんなにパンチが強い女性は初めてだよ ゴッツンゴッツン響くんだから。 あ~~~、残念だなぁ~~~ もっと若かったら、プロボクサーにしたかったなぁ!」 (あっ、思い出した) 会長さん。そうそう、以前にも一度だけ会長さんにミット打ちをしてもらったことがありましたね~。 そのときも会長さんは、 「お母さん、強いねぇ~~!」 と言い、息子に向かって、 「お母さんには絶対に逆らっちゃダメだよ!」 と言い、そのあと、 「ご主人、可哀想に…」 そして最後に、 「それだけ強かったら、女子プロレスに行った方がいいですよ」 と、アドバイスしてくださったんでしたね。 …まったく!憎めないお茶目な会長さんです(笑)。 やがて2Rのミット打ちが終わってからも、会長さんは興奮したまま。 他のトレーナーや、プロボクサーの五百久さんにも、 「ちょっと、あのお母さん、あんなに強いの知ってた?」 と尋ね、みんなも口々に、 「そうなんですよ。すごいんですよ! うちの男性練習生たちとスパーリングしてもらいたいんですよね」 「いや、とにかくゴッツン、ゴッツン、すごいんだから」 「身体も特別大きいわけではないし、そんなに強そうには見えないんですけどね」 「もうね~、ゴッツン、ゴッツン…」 (会長さん、“ゴッツン、ゴッツン”は、もういいですってば~!笑) 会長さんは大きな声で、 「お母さん、手は大きいですか?」 「え?手、ですか? いえ、普通だと思いますけど…」 会長さんは、私の手の大きさがよほど気になったらしく、私がバンテージを外し始めると、どこからともなくやって来て、 「お母さん、ちょっと、手見せて」 そして私の手を見ると、 「う~~ん、女性としては大きいのかなぁ? やっぱり天性の才能っていうのがあるんだねぇ…」 と、ブツブツ呟きながら行ってしまいました。 「天性の才能」? 私にボクシングの才能があったんですか~!? (いくらなんでも、遅すぎるよ~~!笑) そのうち本当にまた、同じジムの男性ボクサーとのスパーリングが実現するかもしれませんね(^^; まぁ、私はボクシングが大好きなので、また「はじめの一歩」から、コツコツやっていくつもりです♪ ひなたまさみ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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