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テーマ:柔道最高!(453)
カテゴリ:ヒデキのあゆみ
東海大学松前少年柔道塾。
毎週火曜と木曜の稽古日に、道場の片隅にいつも一人で座り、稽古をじっと見ているお母さんがいます。 後半になると、更に2~3人、他のお母さんやお父さんたちも来て、そのお母さんの両脇に座っていきます。 最後の稽古は、たいてい「乱取り」です。 2人組になり、2分ずつ相手を変えながら、試合のように戦うのです。 その時間になると、並んで見ている保護者の中で、一人だけ怪しい行動を始める人がいます。 左右に身体を揺らし、両隣の人にゴツン!と当たっては 「ごめんなさいっ」 と謝ったり、 突然四つんばいのような姿勢になって列からはみ出して動き出すのです。 最初から見ているお母さんです。 はい、私です(笑)。 私が見ているのは、もちろん、息子のヒデキ(小3)。 見ているうちに、つい力が入り、自分が戦っているような気持ちになってしまうんですね。 思わず(代わりに投げてあげようか?)と思うこともしばしば(笑)。 それで、無意識のうちに身体が揺れるのです。 何十人もの子どもたちが、いっせいにあちこちで乱取りを始めるので、ヒデキが奥の方に行ってしまうと、目の前を別の子たちにふさがれて我が子を見失ってしまうことがあります。 そんなときは、つい息子の姿を探すために身を乗り出したり、四つんばいのまま見えるところまで動いたりしちゃうのです。 ヒデキはそんな私をときどき笑います。 「ママさぁ~、乱取りのとき、いつも変だよね」 「えっ? な、なにが?」 「こんな格好とか(揺れる) こんな格好とか(四つんばい)しながら見てるでしょ?」 「そ、そ、そうかな? ママはただ、ヒデキを見たいだけなんだよ」 「うん♪ 必死で見てるよね」 他の保護者や先生の目には、ずいぶん熱心なお母さんだと思われているかもしれませんね。 私、あまり大きな声では言えないのですが… 先月から仕事が増えました。 家庭の事情があって、週に数日、市内の食品工場でアルバイトを始めたのです。 そんなわけで、今は週に6日、仕事をしているわけです。 現実の生活では「ノープロブレム!」と笑ってばかりはいられないこともありますね~。 柔道のある日は、9時から16時まで工場です。 本当は17時まで働きたいのですが、ヒデキの柔道に合わせて16時まで。 「機械オペレーター」という名前の仕事で、製品のパッケージをする機械が並ぶところで、備品の補充をしたり、機械を調整したりする仕事です。 「機械」が苦手で、ミシンに糸を通すことすらできない私。 最初は正直、(こりゃ、ダメだわ!)と思いました。 それでもせっかく私を採用してくれた会社があるのです。 やる前から投げ出すわけにはいかない、とマニュアルを片手に、必死で覚えることに…。 そのうち、昔行っていたパン工場の機械と何となく似ていることに気づき、やっと楽しくなってきたところですが、ようやく慣れてくると、また次の新しい仕事を覚えないといけなくて、まだまだ緊張の連続です。 16時に仕事を終え、急いで帰宅すると16時半。 16時40分に家を出る前に、着ていた服をすべて着替えます。 食品の匂いが全身についているからです。 本当はシャワーを浴びたいところですが、10分しかないので、着替えが精一杯です お腹ペッコペコのヒデキを柔道から連れて帰ると、もう19時前なので、それから夕食を作っていては間に合いません。そんなわけで、柔道のある日は朝の3~4時から家族3人分のお弁当と、夕食まで支度して出かけます。 そんなに忙しいなら、柔道の稽古中に一度家に戻って、食事の支度をしたら? と、思われますよね~。私もそう思うんです。 でも、それがどうしてもできないのです。 私にとっては長い一日。 ヒデキの柔道を見られることが、 私にとっては宝物の時間なんです ヒデキが一生懸命に稽古をしているから。 ヒデキが、柔道が大好きだから。 ヒデキの一番のファンだから。 真剣な表情で稽古をしているヒデキを見ているだけで、一日の疲れが吹き飛んでいくのです。 最近、学生指導員の先生たちがデンマークへ研修旅行へ行かれ、そこで仕入れてきたトレーニングがたくさん組み込まれるようになりました。 2人組になって片足ケンケンで力比べをしたり、帯を相撲のまわしのように両手でつかんで相手を押し出したり、馬跳びやサーキットトレーニング、反復横跳びなど…。 そんなトレーニングになると、いつもは真剣な表情のヒデキも、楽しそうに、イキイキとした顔つきになります。 道場では、3ヵ月おきに「皆勤賞・精勤賞」が贈られます。 昨日は去年11月~今年1月までの皆勤賞の授与がありました。 ヒデキは残念ながら対象ではありませんでしたが、その前の皆勤賞をもらい損ねていたので、昨日いただきました。 贈られるものは、ノートやボールペンなどの文房具や、なわとび、スポーツタオルなどです。 ヒデキは大きなノートを一冊いただき、とても嬉しそうでした。 お店で買えるものでも、「皆勤賞」のご褒美は、ヒデキにとってはやっぱり特別な意味があるようです。 喜ぶヒデキに、更に嬉しいことがありました。 道場でヒデキが憧れている5年生の先輩K君が、自分の皆勤賞のなわとびをヒデキにくれたのです! K君は5年生ですが、身長は既に160cm以上、体重はどのくらいだろう? もうすっかり大人並みの体格です。 スポーツ万能な明るい少年で、色々な試合でメダルをもらってくる茶帯の先輩です。 ヒデキは入った頃から憧れ始めたようでした。 K君は時々ヒデキに声をかけてくれるのですが、ヒデキは緊張してしまうのか、これまで自分から近寄っていくことはできずにいました。 (でも、いつも遠くから見ています。笑) 最近そのK君とヒデキが、よく話をしている場面を見かけるようになりました。 K君は、皆勤賞の常連組。 解散の直後、K君は、先生に「人にあげてもいいですか?」と尋ねたあと、ヒデキに 「これ、欲しい?」 と尋ね、 「うん♪欲しい!」 と答えたヒデキにくれたそうです。 憧れのK君からもらったなわとびです。 ヒデキは嬉しくて、嬉しくて… 「ママー! すごいよ~~! オレ、K君がこれをオレにくれたんだよ~~」 と、飛んできました。 「ほんと~~!? 良かったね、ヒデキ」 息子の幸せそうな顔を見られるのは、やっぱり嬉しいものです。 ちょうど体育でなわとびを使っているヒデキは、早速学校へ持って行くんだ、と張り切っています。 外から見ると”普通の柔道の稽古”だけど、それを見ているだけで幸せになれる私の気持ち。 外から見ると”普通のノートとなわとび”だけど、それを”特別なノートとなわとび”だと感じるヒデキの気持ち。 『星の王子さま』じゃないけれど、 本当に大切なものは、目には見えないのかもしれませんね。 今日は市内の小学校で、一時間目からヒッポの授業をしてきます。みなさんにとっても、素敵な一日でありますように☆ ひなたまさみ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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