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テーマ:絵が好きな人!?(4332)
カテゴリ:サキのあゆみ
(前回の日記のつづきです)
サキ(中3)の志望校が県立高校の美術コースに決まり、春休みのうちに学校見学にも行きました。
そこでわかった新事実。
入試にデッサンの実技試験がある
デッサンを習った経験のないサキ。 慌てて、デッサンを教えてもらえる教室を探したところ...
美大・美高受験用にデッサンなどを教える予備校や教室があるんですねぇ~。 (知らなかった!)
でも、見つけたところはどこも電車やバスで1時間近くかかるほど遠いところばかり。 それでも受験のためですから、サキを連れて見学をして回りました。
その中のひとつの教室で、こんなことがありました。
先生は、有名美術大学卒業の初老の紳士。 先生に娘のことを紹介したところ、顔を曇らせてこんな質問をされました。
「娘さんは、3時間くらいちゃんと椅子に座って絵を描き続けられますか?」
「知能のレベルはどうですか?
絵さえできれば良い、という世界ではありません。
美大へ進むには、相当の知識も必要になるし、高い芸術の世界では、高い知能で理解し、どんどん知識を吸収し、それを利用しながら作品を創作していくということは絶対に必要なのです。」
「有名なY・K氏。
彼の作品は私から見ると欠点だらけですが、ああいう人の作品が世間の評価を受けたことが、そもそも間違いだったのです」
そして、娘に花瓶のデッサンをさせ、その絵を見ながら...
「遠近法すら理解できていないようですね。
お嬢さんは本当に絵の道に進みたいと思っているのですか?
少しハンディもあるようですし、絵がちょっと得意だから、
あわよくば絵の方面へ進み、コンピューターグラフィックでもできるようになって、仕事ができるようになればいいなぁ
という希望から、お母さんがお嬢さんをたきつけているだけじゃないですか?
はっきり申し上げて、そんなに甘い世界じゃないですよ」
先生のことばは
「さっさと帰ってください」
としか聞こえず、完全に打ちのめされた私と娘。
家に帰ってから...
「ママ、サキはデッサンを習ったことがないよ。
遠近法っていうのも知らない。
もしかしたら、普通級じゃなくて、支援学級だから教えてもらえなかったの?
それとも、サキが1年生で学校を休んでいたときの美術の授業でみんなは習ったのかな?
もう、間に合わないのかな?
サキ、H高校に合格するのはもう無理なのかな?」
...サキ、号泣。
美術のことなどさっぱりわからない私には、「無理かも」とも「大丈夫だよ」とも言えず、ただ娘を不憫に思うばかり。
久しぶりに、思いっきり
障害児の母
を実感したのでした。
それでも、しばらく経って思ったんです。
確かに優秀な先生かもしれない。 頭が良くて、絵も上手で、一流の美大に合格して卒業して...
でも、それがそんなに偉いことなんですか?
私みたいに美術のことがわからない親からすると、 経済的にもまったくゆとりのない親からすると、
どんなに立派な大学でも、実際、子どもに4浪も5浪もさせられないんですよ。 (先生のお話の中に、超難関美大突破に何年もかける人が大勢いる、とありました。)
うちは美大志望ではなく、専門学校志望です。 卒業したら、すぐに就職することを希望しているんです。
コンピューターグラフィック? それで仕事できればいい、って思う?
それが、そんなに悪いことでしょうか?
子どもたちが自分で仕事をして、お金を稼いで、生活できるようになる。
これは親である私にとっては当たり前の目標です。 増してサキのように才能に偏りのある子だと、 せめて本人の好きなことで食べていけるようになってくれたら... って願うのは、当然のことじゃないですか?
(って、一言も言えなかったけど...) 何だかとても後味が悪く、すっかり自信もなくしてしまった私たち。 そんなとき、サキの通う中学の美術の先生が、市内にもデッサン教室がひとつある、と紹介してくださいました。
正直、もうデッサンの教室はこりごり、という気持ちでしたが、最後の望みと思って行ってみたそこの先生は前回の先生とは正反対のような方でした。
50代くらいの男性の先生。 高校の美術部でも指導されている、ということで、とても丁寧に教えてくださいます。
「デッサンが描けないのは、描き方を教わっていないからです。
ちゃんと教わればちゃんと描けるようになりますから、大丈夫です。」
「絵を描くことが好きなら、きっと上手になります。
受験までまだ一年近くあるわけですし、デッサンに関する心配は要りませんよ。
あとは、学科の勉強をしっかり頑張って、合格ラインに持っていけるよう頑張ってくださいね」
先月から、そのアトリエに通い始めたサキ。 1回3時間ですが、あっという間に終わってしまうそうです。
基本の○と□の練習から入り、こんなデッサンを描いてきました。
そして、前回からは少し応用になり、柔らかい素材のものや、皺のある形のデッサンを...。 デッサンをまったく知らなかった娘が、わずか1ヶ月でこんなに描けるようになりました。
専門の方から見れば、まだまだ欠点だらけのデッサンかもしれませんが、絵の描けない私には、紙の中に立体図形を表現できることが、不思議で仕方ありません。
「サキ、すごいじゃん!
はい、合格!!!」
毎回、サキのデッサンを見ながら感動してしまうのですが、当の本人は、
「こんなの、まだまだだよ。
もっと上手な人がいっぱい受験するんだから」
そう言いながらも、
やっぱりちょっと嬉しそうです
これからどこまで上手になっていくのか、私も楽しみです
ひなたまさみ
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