ひねもす日記

さてもさても。


昨日、たまたまテレビをつけたら、長門洋之・南田洋子夫妻の過去から
現在までが放映されていた。

南田洋子さんが認知症であるという報道番組があって、それからの現在。



芸能人夫婦の苦労は、まあどうでもいいんだけど、やっぱり夫婦の
どちらかがそうなった時、というのはとても考えさせられた。
ましてや、うちは今、義実家の現状がまさに重ねて見えるので。。。


ただ、最後、気になったのが。

以前に放映された南田さんの様子から比べると、今現在の南田さんが
かなり落ち着かれていて、それは確かに長門さんの介護があってこそ
なのだけど、その献身的な介護が奇跡を招いたのか、愛情がこの回復に
結びついたのか、というニュアンスの締めくくりだったのね。

もちろん、それを緩和させるように医師のコメントが挿入されていて、

「南田さんは肝機能がかなり悪くなっていたので、そちらが改善された
　ことによって、以前より（認知症も）良い状態になられた」

とはあったんだけど。



現実、介護をしている家族からすれば酷じゃないかな、と思えた。

毎日、問題行動で追いつめられている人たちが見て、
自分たちの愛情が足りないから、介護の手が尽くされていないから、
問題行動が治まらないのでは、　もしくは周囲にそう見られているのでは、
と、思いつめたりしないだろうか？

そう思った。

それは、障害を持った子どもがいる家庭でもあることで、問題行動は
親のせいじゃないか？そう思われていないか？という事がある。


それは、過敏なんじゃないの？と言える人は幸福だと思う。
自分の愛情にも、人の愛情にも疑いを持ったことがない人だろうから。



精神障害（認知症も含めて）は、解りづらさからそういう観念的な
原因を持ってきやすいように思う。
とはいえ、その心の持ちようが全く関係ないかといえば違う。

たとえば、昨日の南田洋子さんを見て思ったのは、先日読んだ

この本。

出版されたのはずいぶん前なんだけども、とても解りやすい本だった。


この中で、介護する家族を安心させることで、患者が良い状態になることが
書かれている。
問題行動が目に見えて減る。
なぜか。

それは、サポートする家族が追いつめられることで、家の中の雰囲気がとても
逼迫したものになっているから。
患者さんは言葉が理解できず、行動の意味がわからなくなっていっているけども、
その分防衛本能は“空気”を読み取ろうとしているように思う。
だから、目の奥には怯えがある。




長門さんが、南田さんの介護をカミングアウトした事で、たぶん家の中の
空気は変わっていったろうな、というのがわたしの予測。

まず長門さんが多くの人に、あの後声をかけられたろう。

大丈夫ですか？　大変ですね。　なにかできる事があれば言ってね。
病院はどうですか？　デイケアは？　サポートは受けている？

この言葉が、どれだけ彼を開放したか。
介護をしておられる人ならわかるんじゃないだろうか。



愛情で精神障害は完治できないけど、サポートはできる。
でも、棚からぼたもちじゃないから、引きこもっているだけでは
誰も気づいてくれない。
介護者の苦悩まで、気づいてもらえない。


それは、普段あれだけ追っかけられてる芸能人でもそうなんだ。



それが、あの長門・南田夫妻の気づかせてくれた一番大切な事なんじゃないかな。





どっとはらい。