真鍋かおりが多すぎる
最近、テレビなど滅多にみない。噂では、サッカーで盛り上がっている人々が多いらしい。もともと野球も、相撲も見ている暇がないほどやりたい事が昔から多かった。暇があれば読みかけの本を読まねばならない。いまは、なんとか眼が悪くなったので、本を読む時間だけやりたいことにまわせている。そんな時、偶然にテレビにスイッチをいれると真鍋かおりが出ていた。自分がテレビをつけると、なぜか彼女がでてくることが多い。バイオリズムが、よほど共振しているのだろうか。その番組では、彼女が小学生の時に仲の良かった女の子に転向するので御人形をあげたというのだ。その人形が、漫画家のやくみつるが持っている。それを楽屋でみせられて驚いたという。真鍋かおりが、小学生時代に友達にあげた人形を、やくみつるが手に入れて、彼女にみせるまでのプロセスは以下だ。真鍋かおりが、同級生の女の子と仲良くなった。ところが、同級生の女の子が転校することになって、一念発起真鍋が記念のプレゼントを選んだ。その人形は、いま好事家のあいだで話題を呼ぶビンテージもののコレクターズギミックになっている。同級生の女の子は、長じて叔母にその人形をみせた。その叔母は、知る人ぞ知るコレクターで姪から、その人形を貰い受けた。その叔母は、やくみつると知り合い結婚をする。現夫人である。やくみつるは、芸能人として認知度が高い、真鍋かおりが夫人の姪の小学生の同級生だと知り、その人形をみせた。ざっと、このような動きなのであるという。これが、社会事象として発生する可能性を統計学的なセンスで表示していた。これは、数兆回に1度あるかないかという、相当凄い奇跡的な事件だというのだ。本当にそうなのだろうか。わたしは、奇跡的という意味が、よく理解できない。それは意図して仕組もうと思っても、そのようには再現できないという意味であるのならば、確かに不思議さがまとわりついてくるという気はする。われわれは、えてして奇跡的な偶然に対してついつい感激してしまう。逆にいえば、感激したいという動機を強くうちに秘めている生物だ。そんなわれわれの性癖から、すれば、奇跡は繰り返し生じることを求められているというような気さえするのである。だが、世の中はそれを言い出せば奇跡の連鎖である。われわれ一人ひとりがこの世に産まれて来たについては、あまたの精子数億規模の奔走の果てに辛くも受精したその瞬間から、奇跡の海を泳いでいるようなものだ。人と人との出会いは、もともと神憑りなまでに奇跡的なのである。われわれが、運不運と呼んでいるものはそれらに比べて遥かに可能性が高い緊迫度の中で、浮き沈みしている。そこで差をみつけだすものは、われわれの欲にほかならない。撃墜王坂井三郎は、いつも私が尊敬する人物のひとりとして紹介するが実に凄いことを言っている。人間が、可能性を感じるものは必ず実現する。それは困難さの程度が、高いか低いかの違いだけであるというのだ。困難さに打ち勝つ方法は、人それぞれであろうが困難であることが、実現しないということを必ずしも意味しない。坂井三郎は、あのとんでもない馬鹿げた戦争指導をやからした軍上層部についても大いに批判的だったと思う。しかし、彼はあの非力な零戦という棺桶に動力をつけたような戦闘機で、途轍もない強大な対戦相手に勝ち続け、くわえて出撃した僚機に戦死者をひとりも出していない。当時敵国だったアメリカの艦載機パイロットが、絶賛せざるを得ないような記録を打ち立てている。彼は、常にやれないと考える前に、どうすれば実現できるだろうという視点で物事を考えつづけた人らしい。私は、人間が実現するようなものや、遭遇するようなものが奇跡の筈がないという風に思うようにした。「回想的錯視」Dejavu を言うベルグソンの方が、遥かに現実味がある。なにが起きても、以前にみたことがある ように感じる方がまともなのかもしれない。i'VE SEEN iT ALLI've seen it all, I have seen the trees,I've seen the willow leaves dancing in the breezeI've seen a friend killed by a friend,And lives that were over before they were spent.I've seen what I was - I know what I'll beI've seen it all - there is no more to see!You haven't seen elephants, kings or Peru!I'm happy to say I had better to doWhat about China? Have you seen the Great Wall?All walls are great, if the roof doesn't fall!And the man you will marry?The home you will share?To be honest, I really don't care...You've never been to Niagara Falls?I have seen water, its water, that's all...The Eiffel Tower, the Empire State?My pulse was as high on my very first date!Your grandson's hand as he plays with your hair?To be honest, I really don't care...I've seen it all, I've seen the darkI've seen the brightness in one little spark.I've seen what I chose and I've seen what I need,And that is enough, to want more would be greed.I've seen what I was and I know what I'll beI've seen it all - there is no more to see!You've seen it all and all you have seenYou can always review on your own little screenThe light and the dark, the big and the smallJust keep in mind - you need no more at allYou've seen what you were and know what you'll beYou've seen it all - there is no more to see!Written by: Björk, Sjón & Lars von Trier