映画「ダークサークル」について
この映画はいまも日本未公開である。実は、NHKと関西テレビなどが深夜等にこっそり放映している。25年前の話ではあるが,,,しかし大多数の日本人は見ていない。れっきとしたご禁制映画なのである。映画会社は、これを日本の庶民の眼から隔離した。映画配給ルートも、ビデオ配給ルートも、この映画を隠しつづけた。そんな25年間が続いた。私は、87年この映画を手に入れた。その理由は、この映画が玩具のメーカーから密かに「玩具として」流通させたからだ。それを手に入れた私は、一度も見ずに油紙に包んで冷暗所に保管した。保管した理由は、チェルノブイリ事故のあと3年もせぬうちにこの映画も、反原発運動も風化し一連の運動と問題提起は終息するだろうと予感したからだ。案の定、日本はバブル経済を迎えてたちまち巨大原子力災害の一連の出来事は日本人の脳裏から消え失せた。87年当時,,,さまざまな論客が私に述べた事がある。航空機事故やJRなどの脱線転覆事故があれば大事だ。かならず、日本の巨大システム維持の基礎体力が低下した指標となる。それを銘記していた私は、ひそかにVHSをデジタル化する事を決意した。そんなこんなで3年ほど前から、Youtubeなどの動画サイト隆盛に期待して動画配信を開始した。これはかなり非合法的な振る舞いであることは覚悟の上だった。ところが、これほどのリスクを冒して動画配信したが一年間に600人もこの映画を見る人はいなかったのである。私と協力者のToshiara氏の落胆はひどかった。しかも、視聴くださった大多数は日本人ではなかったりする。日本人の度し難い鈍さは、この一事をもっても指摘できる。視聴くださった方の大多数は北米、コロラド州住民だったり、南米住民だったり、豪州、欧州の方だったりする。日本人での視聴は皆無とは言わないまでも期待よりも遥かに少なかった。今でこそ、視聴者は数万人を超えたらしい。しかし、まだまだ未公開同然なのである。先月、朗報が耳にはいった。この映画監督のジュディーアービング女史が日本の代理人を通じてこの映画の非営利上映について著作権行使を留保するとの意向を伝えてきたそうだ。有難い。私は、白タク状態から解放されたのである。しかし、今なお日本人の視聴者が増えている印象はない。