追憶の旅～あなたがいた季節～

ボス、今日は子供たち連れてお花見に行ってきたよ～

午前中は空が悪かったし家でマッタリしてたんだけど

お昼からお日様出てきてね、

急遽思い立ってさ。

『よっしゃ～！！桜でもみてくるかぁ！！』

って、いつもの私の調子

ボスジュニアの身支度ササって整えて車に乗り込み

あとの二人が遊ぶ公園へ。

そしたら一緒に遊んでた友達二人も行きたいって言うもんだから

大人二人、子供四人、乳児一人の計七人で

車にぎゅうぎゅう詰めになってお城の公園へGo !!

風邪はまだ冷たかった。

桜もね、まだ五分も咲いてなかった。

 そういえば・・・

ボス、よく言ってたよね。

『ママ、俺・・・２００６年の桜は、見れるんかの～』って。

癌って分かった去年の４/1。

始めはさ、エイプリルフールだから

またいつもの冗談だと思ってた。

でも診察室から出てきたボスの顔は、

なんともいえない、今までに私が見たことのない

なんだか怯えてるような不安げな表情で、

それでも無理にぎこちない作り笑いなんかして・・・

いつも冗談言う時のあの

大人気ない、悪戯な子供みたいな表情じゃなかったから、私

・・・ホントなんだって、悟った。

 数日後、二人で桜見に行って

写真撮った日から

口癖みたいにその言葉を言ってた。

あの頃からもう一年が経ったんだ。

私はその都度、

『当たり前やろ～』

って言って来た。

ボスを励ますように。

自分に言い聞かせるように。

結局、見せてあげられなかった・・・

桜。

だから今日はね、

実はボスも連れてったんだよ。

こっそり分けてもらったボスのお骨の欠片。

小さな骨壷に入れてあるその欠片を

バッグにこっそり忍ばせて

一緒に行ったんだよ。

桜、まだ蕾だらけだったけど

ボスはちゃんと見れた？

ジュニアと一緒にお花見できた・・・？