カテゴリ:子供
彼女はとても寂しかっただけでした。 日ごろ、生意気な口をたたくのも、 マイペースな弟に癇癪を起こすのも、 ふてくされるのも、 拗ねるのも、 気まぐれに涙もろいのも、 全ては 寂しかっただけでした。
私はきっと、心のどこかでそれに気付いていながら、 受け止めるだけの余裕を持てないでいたような気がします。
仕事をしなくちゃ! 掃除をしなくちゃ! ご飯の支度を・・・ 洗濯を・・・ 仕事を・・ 仕事を・・・ 仕事が・・ 仕事が・・
離婚して以来、めまぐるしく過ぎる日々の生活に 私は疲れてしまい、それでもそれを認めたくなくて いつしか自分に言い聞かせるように 言い訳を覚えて行ったのです。 もっとも、当時の私には言い訳という自覚は全く無く、 正当な理由と信じていましたが。
その言い訳の帳尻合わせの被害にあったのが 他の誰でもない、彼女でした。
どっちかと言えば楽天家の弟に比べ、 彼女は本当に幼い頃から利発な子供でしたから、 自分の母親が 悩んでいることや 苦しんでいることや 疲れていること そして、本当は言い訳をしながらでないと生きていけない とても弱い生き物だったことを きっと感じていたのです。
だから彼女は、私が言葉にしなくても 私が求めていることはほとんど分かって行動しました。 そうして、いつも私を気遣ってくれていたのです。
そんな時すらも当時の私はずるく、 そんな彼女の思いやりすらも、 なんだか当たり前のように受けていました。
今思えば本当に酷い仕打ちだったと思います。
自分の子供時代も同じような想いをしてきたはずなのに なんで同じ想いをさせてしまったのか。 今となれば言い訳のしようもありません。
幸い、今現在気付くことが出来たのが唯一の救いです。
こんなに愛しくて、抱きしめても抱きしめても抱きしめ足りないほど 彼女を毎日愛してると感じる毎日を送れるようになったのは きっと、去年のあの妊娠、出産期間があったからです。
休業中の店の先々、未婚の末の妊娠、ボスのガン、 そんなことが常に頭の中に渦巻く数ヶ月の日々を 当時の私は本当にとてつもない不安の中で生活していましたが、 今思えば、それまでの私が、どこかに置いてきてしまった 一番大事な気持ちを取り戻させてくれた 大切で必要な時間だったと思います。
そして、苦しかったけれど、 やっぱり幸せな時間でした。
世間からほとんど隔離されたような生活は、逆に、 私に家族のためだけに使う時間を与えましたし、 家族からの思いを心から真摯に受け止め、 思いを巡らせられる機会をつくりました。
また、あの時、苦しみながら育んだ命が、 今、ボスからの贈り物として私の傍に息づいています。 彼女はその贈り物によって、 日々、本当に温かい笑顔を増やしています。
私は今日もその笑顔に救われているのかもしれません。
いつしか彼女も色んな悲しみや苦しみに出会うこととなると思います。 それでもやっぱり今の笑顔を絶やさずに生きて欲しい。 そして私も笑顔を絶やさずに生きて生きたい。 次は、 寂しい想いを抱えながら、 それでもいつも支えてくれた彼女のために笑顔を向け続けたい。 彼女の髪を撫でながら、 そんな事を想いいつしか眠りについた、 本当に幸せな誕生日でした。
ありがとう これからもたくさん笑おうね 病気も怪我もしませんように・・・
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