環境保護団体を装って海賊行為を繰り返すシー・シェパードが日本の調査捕鯨船団の監視船に衝突してきた問題で、世界中が大騒ぎになっている。オーストラリアではシー・シェパードを擁護する声が多いことなどから国際問題に発展しそうな勢いだ。
そんな中、朝日新聞が画期的な問題解決法を紙上に掲載し、注目されている。
問題の記事は、2010年1月8日付関西版の朝日新聞夕刊の「窓-論説委員室から-困った年中行事」だ。以下がその記事である。
日本の調査捕鯨船団の監視船と、米国の反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の小型高速船がふつかった。
昨年2月にも同じようなトラブルが起きている。なにやら、この時期の南極海の年中行事のようになりつつある。
波が荒いにもかかわらず、SSの船は日本の船団のすぐ近くにとどまったまま抗議活動を続けていたようだ。衝突の直接の原因はさておき、SSのふるまいに問題があったように思える。
そもそも日本の調査捕鯨は、国際的に認められたものである。それが自らの主義主張と相容れないからといって、緑色の光線を照射したり、ロープで船の針路をじゃましたりすることは表現の自由から逸脱している。
もちろんSSからすれば、トラブルの映像が世界を駆けめぐれば格好の宣伝になる。今後も抗議活動をエスカレートさせることはあっても、控えめにしていくとは考えにくい。
このままでは、人命にかかわる事態が起きないか気がかりだ。「困った年中行事」を止められないものか。
ひとつの策は、国際捕鯨委員会(IWC)の場で、日本が「いっさい調査捕鯨をやめます」と宣言することである。だが、日本の政府にも立場なり主義主張なりがあるから、そんなことがすぐに実現できるとは思えない。
捕鯨をめぐって世界の国は真っ二つだ。「困った年中行事」は、まだ続くのだろうか。
(村山知博)
何とビックリすることに、シーシェパードからの妨害をやめさせる方法は、
【日本が「いっさい調査捕鯨をやめます」と宣言すること】
だそうだ。「日本の調査捕鯨は、国際的に認められたもの」と書いておきながら、それをやめればいいという主張をするとは、意味が分からない。書いたのは1989年に入社し、科学部記者として環境ホルモンやダイオキシン問題などを取材。その後、アエラ編集部、アメリカ総局、記事審査委員会などをへて論説委員になった村山知博氏。何も分かっていない大学を出たてのゆとり世代ではなく、朝日新聞社の第一線でバリバリと働いてきた方だ。