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カテゴリ:だんな様のこと
あれは、私たちが付き合いだして何ヶ月か経った頃。
エイプリールフールでも何でもないある日、 私は彼のアパートで一緒にキッチンに立っていた。 彼の作ったシチューをごちそうになり、 お腹も心も満足して洗い物でも始めようとしていた。 シチューが辛かったので水が飲みたくなり、 氷を取ろうと冷凍庫を開けると、 見たことのない肉の塊が いくつかゴロゴロ入ってた。 今思えばそれは牛肉の塊だったり、 ヤギの肉だったり、牛スジ肉とか、 カウテールとか、レッグとか、 牛モツ系のちょっと内蔵チックなものを 彼がオーダーして調理用に冷凍しておいた物だったのだが、 ナイジェリアンフードに関しては、 まだ全然知らなかった当時の私。 実家の冷蔵庫にもこんな塊肉なんて お目見えしたことなどなく、 せいぜいスーパーのお徳用パック、 しかも豚肉くらいなもんで、 当然「これ何の肉?」と聞いてみた。 すると彼は神妙な顔で、 「誰にも言わないって約束する? 実は人間の肉なんだよ。」って言うじゃないですか。 「またぁー。ウソでしょー?」と信じる訳のない私。 「本当なんだよ。人間の肉はとっても滋養強壮になって、 一度食べるとやめられないんだ。」 その真剣な表情にだんだん 「まじで・・?」になってきた私。 でもなんでそんなものが、 こんな一般家庭の冷蔵庫に?? どこから手に入れたの? すると彼は 「秘密の組織があって、ごく一部の人しか知らない パスワードを使って注文するんだ。そのあと宅配される。 一度注文したら組織から抜けられない。」 とあっさり言ってのけた。 って言うことはテレフォンオーダーで、 「肩、何キロとか、ハラミ何キロ」とか言うのか?? 私の頭の中は、肉屋によくある 牛とか豚の絵が、モモとかヒレとか 部位ごとにカラフルに色分けされている あの図の人間版がグルグル回っていた。 世の中には色んな文化があるし、 この人はそういう人種なのか?? それって認めてあげなきゃいけないの?? でも気持ち悪いのは気持ち悪いし、 そんなの絶対ムリ!とか一人悶々と考え込んでいると、 「さっき食べたシチューおいしいって言ったでしょ? あれ、この肉ね。」 なにぃーー!?っと考える間もなく 「おえぇぇーー。」ときました。 耳鼻咽喉科でノドをつつかれても ここまで強烈には来ないであろう吐き気が・・。 「人の肉を食べてしまった・・。」 あまりのショックに言葉も出ず、 さっきのおぇぇーで涙目の私。 「ははは!!うそだよー。信じたの? クリスチャンの私がそんなことするわけないじゃん。」 と大爆笑の彼。 「それに、これから奥さんになる人は、 ぼくがやめられないって言っても、 君が悪い事だと思うなら やめさせなきゃダメだよ。」とまで言い出した。 今思えば笑い話だが、 あの時はしばらくトラウマになり、 彼が作ったものは食べる前に必ず 「これ何の肉?」と聞いていた。 しかもこの発言はそれとなく 私たちの結婚を匂わすセリフだったのだが、 あまりに不気味なシチュエーションに 私の心は複雑だった・・。 こんなにバカ正直だった私。 もうすぐ結婚1周年を迎えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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