カテゴリ:小説読書録
先日、なんとなく、図書館を練り歩いていたら「密室殺人ゲーム2.0(以下「2.0」)」を発見。もうだいぶ前に読んだタイトルだったけれど、なんとなくまた読みたくなって借りることに。 そして昨日読了。やっぱり面白いなあ。第一段の「密室殺人ゲーム 王手飛車取り(以下「王手飛車取り」)」も好きだけれど、破壊力はやっぱり「2.0」の方が上に感じる。まあ、これは「王手飛車取り」を読んだからこそ、「2.0」でそう感じるんだろうけれど、ほんと半端ないよ、アレ。 キャラクターもいい。思いっきり犯罪を犯していて、常識的な目でみれば嫌悪感しか感じられないはずなのに、それでも物語に没頭すると憎めない。自分の価値観に不安を覚えたりするけれど、虚構だからこそ味わえるあの狂気的な楽しさは、彼らのキャラクターからも生まれるのだろうな。 ええと、ここでとりあえずあらすじを。「密室殺人ゲーム」シリーズは頭狂人、044APD、aXe、ザンギャ君、伴道全教授というハンドルネームをもつ5人が、それぞれトリック考え、それを問題として出し合って推理ゲームをしていくのだが、しかし、その問題は出題者が本当に犯した殺人事件なのである。と、いうような感じ。作者は「葉桜の季節に君を想うということ」などでも名高い歌野晶午。新本格時代からの作家のひとり。 ええと、以下は微妙にネタバレも含みそうだから色を変えてみよう。もし読みたいひとが居たら反転してください。 うーん、まだ2作目までしか出てないし、勝ち負けってのも変な話なんだけれど、この「密室殺人ゲーム」シリーズ、頭狂人と044APDの勝負っていう感じがするんだよね。「王手飛車取り」では、最終的にはベイダー卿が勝利したっていうイメージがあり、「2.0」ではコロンボちゃんの勝ちって感じがするんだな。少なくとも「2.0」に関して言えば、異論はないと思う。最終的に問題解けたんだからベイダー卿が勝ったっていう意見もなくはないけれど、でも、あのゲームでの勝敗は、解けたかどうかより、どんな問題を出題したかっていうのによるんじゃないかと思うわけ。個人的には頭狂人の「相当な悪魔」の方が驚いたし(正直コロンボちゃんの問題は答えがわかったので)、鳥肌も立ったけれど、実際に遭遇したとなると、044APDの問題の破壊力にはかなわないんじゃないか(それに「相当な悪魔」で驚いたのは「王手飛車取り」の効果もあったと思うし)と、感じてしまう。だから、2作目はやっぱりコロンボちゃんの勝ちだと思うわけだ。 では「王手飛車取り」ではどうかというと、最後からの2章でベイダー卿に軍配があがるんだと思うんだよねえ。ミステリとしては「求道者の密室」が一番すごいと思うけどさ、ラスト二つごり押しで勝ちみたいなイメージあるんだよなあ。まあ、「王手飛車取り」ではもう完全なイメージで頭狂人、っていう感じしかないから何とも言えないけれども。 で、「王手飛車取り」の勝ち負けは置いといて、それより感じちゃうのが「2.0」を読むと「王手飛車取り」は「2.0」への布石としか思えなくなっちゃうんだな。悪い意味じゃなくてさ。正直、「王手飛車取り」の結末は、あれを読んだ当時がっかりだった。でも「2.0」を読み終えたあと、そんなものはすっ飛んでいってしまったんだよね。「王手飛車取り」の存在が「2.0」を大きくしているんだってね。これが「同一線上から少しずらす」ってことかって、感動した。ほんと、すげえって素直に思った。 そして、どうやら、第三弾も出るらしい。「密密室殺人ゲーム マニアックス」とか言うそうだ。ほんと、楽しみである。 で、結論:教授は脱力系。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011/08/06 06:44:34 PM
コメント(0) | コメントを書く
[小説読書録] カテゴリの最新記事
|
|