ラヂオからそのニュースは聞こえてきた。
その名前を聞いたとき、自分でも不思議なほど驚いた、いや、ショックを受けた。
たしか、土曜日朝に生放送に出ていたらしいけれど、僕が偶然、土曜日に観たのは夜のバラエティー番組「世界一受けたい授業」でだった。それがきっとテレビに映った最後の姿だったのだろう。もちろん収録は放送日より前なのだから、朝の生放送の姿が最後なのだが。
階段状に並んだゲスト席の後上段席に白い服を着て座っていた。
僕は、日曜日の朝の極楽とんぼ「加藤」のがっちりマンデーでのレポーター姿のイメージがとても強く、
正直、ニュースなど報道のイメージはなかったし、フリーなことも知らなかった。
これといって、ファンだったわけでもなく、気にしていたわけでもないのだけれど、
ラヂオから、その名前が流れ、そして亡くなった、練炭で自殺したと聞いたとき、
驚き、ショックを受けている自分に気がついた。
それは、そう、土曜日の夜に観たときに、何とも言えない不安を感じたからだった。
今思えばとか、そんなレベルじゃない。
あの時の姿は、もう、はっきりと、気力を減らしてしまっている姿だった。
ほかの出演者は思い出せないのに、なぜかはっきりと服装や座っていた場所まで思い出せるほど、その姿を見た時の印象が強かったんだ。周りと、明らかに違う雰囲気だった。
だから、ラヂオからこの話を聞いたとき、ショックを受けた。
全く僕とは無縁の人ではあるけれど、それでも、あの時、感じた不安、それが、こうして現実になり、
取り返しがつかなくなってしまったこと、僕に何かできたわけではないけれど、それでも、なにか、そうは思わずにいられなかった。