テーマ:猛暑(190)
カテゴリ:気象、天文
台風9号は雨台風だったようですね。
みなさんの地域ではどうだったでしょうか? 鳥取県では約降雨量100mm前後、風なしで最盛期の二十世紀梨の落下もなく安堵しました <今回は台風余話です> 20年も前のお話です 1991年(平成3年)9月に発生し、27日、日本列島に甚大な被害を与えた台風19号というとてつもない大型台風がありました ご存知の方も多かろうと思います(別称:リンゴ台風) <台風19号>1991年9月23日:925hpa これが悪玉の正体です 九州西岸を北上して諫早市に上陸、勢力を保っていた上、日本海を速い速度で北上する最悪な進路を取ったため、各地で南風の猛烈な暴風が吹き荒れた猛烈な風台風でした <ウキペディアよりデータを転記です> 阿蘇山で最大瞬間風速60.9m/s、広島市で58.9m/s、輪島市で57.3m/s、青森市で53.9m/sを記録するなど、最大瞬間風速は26箇所、最大風速は12箇所で観測記録を更新した・・・と記されています <諫早上陸>1991年9月27日16時:940hpa 自宅でも棟瓦が飛んで散在し、作業場が半壊し散々でした。 当時の解説では台風エネルギーは風、雨であってそれが一方に片寄ると雨台風風台風という名で呼ばれるのですが記事のようにこの19号は風台風でした 台風エネルギーが風に総て重畳されるのです 台風の食料は豊富な海水の水蒸気です <進路>陸をかすめて進行していますから勢力は衰えません お話とはここから本番なのです その筋の方なら忘れえぬ記憶となっていることでしょうね <停電の続出?> 一般の被害状況ならNETでお調べください 忌まわしい台風は甚大な被害を残し立ち去りましたが今日のお話はその後の事なのです。 山陽工場ベルト地帯、中国山地には特別高圧送電線が走っています(一部山陰地方からも送電しています) ------------------------------------------------ 台風通過後から時々山陽地方に広域停電が続出しだしました(時々断と云います) しかも快晴の日、昼夜、無風、降雨に無関係に発生したのです ※戦後の停電事故をご存知の方ならお判りかと存じます 工場、民家、商店等軒並みです・・・電力会社には問い合わせ、抗議の電話が殺到しました 発電所、変電所、送電線のトラブルはありません・・関係者は不思議がりました 原因個所が特別高圧送電線にあるとまで究明できたのですが点検しても断線はありません。 数分後には自然回復、そしてまた停電・・・工場の機械、市電は止まるし、照明、冷凍食品は溶け出すし大騒ぎだったそうです それも山陽の市町村のあちこちで発生しました、落雷もありません・・・ ------------------------------------------------------ <原因は塩害にありました> 数日前に通過した台風19号の猛烈な南風により瀬戸内海の海水がシブキ、霧状となって市町村、中国山地まで風雨に乗ってありとあらゆる物に吹き付けました。 海に近い畑では秋の野菜も枯れてしまいミカンも甚大な被害を受けました 勿論送電線、碍子にも塩水が霧状となって吹きつけられました 中国山地を走っている送電線にもですよ、その猛烈な風の勢いがいかに大きかったか想像できると思います 水と海水、どれだけの伝導率が違うのか私には解りませんが海水の方が水より電気を流す性質があるのです。 台風後の雨降りは中国地方一斉に降る訳ではありません。夕立は特に狭い地域に降りますね。 送電線の碍子に塩が付着した状態で雨が降るとその部分は送電線ー碍子ー鉄塔ー地面といった経路で電気回路が出来て漏電(高圧電線では地絡といいます)が起こりました。 地絡が起こると安全のため送電側では自動で送電スイッチを切断する回路となっています。 降雨(真水です)が数秒、数分でその部分の塩を流してくれますから自然と回復するのです そういう個所があちこちの送電線鉄塔で起こりました・・・ 日を変えて次々です、ゲリラ的に・・・ 高圧用碍子の長さは1m程度もあるのではないでしょうか(それだけ長くして絶縁率を高くしているのですが) それに塩が付着して乾いている時は電気を通さないのですが雨が降ると塩水となって微弱な電流が漏電となってしまうんですね 最終手段はヘリコプターで高圧電線の碍子を放水して塩分を強制的に洗浄するという涙ぐましい手段が毎日行われました。 作業時間中は九州、関西電力から電力を流してもらってそれに切り替えて、需要者には迷惑を掛けぬよう無停電で行われました 洗い流された碍子は何万本もあった事でしょう、しかも全部の送電線鉄塔に設置されています 神業とはこの事でしょうか、近寄れば鉄塔に触れて墜落! 離れて放水は能率低下、 涙ぐましい作業が延々と続きました、管轄外からも応援があった事でしょう・・・ やっと停電騒ぎが収まったのは1ケ月後でした 最近の送電線点検で電力会社がヘリを飛ばされている光景は見かけますが双眼鏡で黙視点検ではないでしょうか。普通はそれで充分なんですね でも今回は真水を積んで一斉放水です、そのご苦労は大変だったろうと思います --------------------------------------------- 今回の台風は雨台風でしたからその心配はありませんでした。 だからといって風台風には必ずそんな現象があるとは言い切れません。 超大型風台風にはこんな現象があるという事は技術者には初体験で以降種々の改良がなされたことでしょう。 地震(津波)、台風(山崩れ、水害)、猛暑、火山・・私たちはこの日本列島、大変な危険地帯に住んでいるのだと感じています 今回も思い出話となってしまいましたね。 最後までお読みいただきありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[気象、天文] カテゴリの最新記事
|
|