悲しい日
先日、父が他界した。病気だと診断されてからたった4ヶ月と13日、あまりにも早く突然のことだった。もう父の顔を見ることができないなんて、いまだに信じられない。そして、親の死がこんなに辛く悲しいということも思い知った。健康な頃の父はいつもニコニコしていた。5年前に脳梗塞を患い、仕事を辞め家に居るようになってからは大好きな酒も飲めなくなってしまったので、よく部屋にお菓子をこっそり隠しては食べていた。どんどん太ってきていたので、糖尿病の心配もあり、私はよく小言を言っていた。その度に、「わかってる!わかってる!」と笑いながら答えていたのを思い出す。そして、大好きなパチンコへ行くと頻繁に勝っていたようで、「すごいねーお父さん!」と言うと、嬉しそうな顔で笑っていたのも思い出す。歳をとってからはいつでもニコニコしていたのだ。だけど、闘病生活が始まり、病気についての告知を受けると今までの笑顔が無くなってしまった。楽しいことを話しかけると笑ってはくれるが悲しげな表情。そして進行が進むと、壮絶な病魔との闘いの日々だった。父の、優しい表情が全く無くなっていた。厳しく、辛そうな、苦しそうな顔。そして、薬や病状の為にまるで違う人格になっていった。最初はそんな父に驚き、何度か看護婦さんの元へ泣きながら走っていた。毎日、毎日、そんな父を見るのがとても辛かった。元気なうちになぜもっといろいろしてあげなかったのだろうかと悔やむ。きっと誰もがそう後悔するものなのだろうが。発病してあっという間に逝ってしまった。親孝行らしいことなどしてあげていない。今ある幸せも、親が私を大切に育ててくれたからこそなのに。なぜ、元気な頃はそんな当たり前のことがわからないのだろう。自分が、情けなく、悔しくてたまらない。今頃、父はどうしているんだろうと考える。やっと辛く苦しい日々から解放され、どこかへ旅に出ているのかなあと想像する。穏やかで、幸せな時間を過ごしていてくれることを祈るしかない。ありがとう。お父さん。心から感謝します。お父さん。お父さんの子供で良かったよ。