カテゴリ:books
今から55年前の1952年7月18日、2千年の眠りから覚めたハスの花が咲いた。このロマン溢れるニュースは世界中を駆け巡った。
千葉公園の大賀ハス 7月13日、Caplio GX100で撮影。 《新品》RICOH Caplio GX100 VFキット Map価格 59,810円 (税込 62,800 円) この発掘をめぐる話は「プロジェクトX」、「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り上げられてもおかしくないほど興味深く、感動的だ。 その発見者の大賀一郎博士の著作、講演、対話を集めた「大賀一郎」は素敵なエピソードが詰まった宝箱のような本だ。 大賀一郎 本体価格 1,800円 (税込 1,890 円) ハス発見のきっかけは失敗だった。博士は1200年前の壺から見つかった蓮の実を枯らしてしまう。 そんな時、弥生時代の丸太舟が千葉市検見川で発見されたニュースを耳にした。舟の中からハスの一部が見つかったというのだ。慌て問い合わせるが、既に処分した後だった。 そこで出土地点を掘り起こそうと思い立つ。博士は当時、68歳。1人でやるには高齢すぎた。 きちんとした発掘にはお金がかかる。手持ちは1万円。現実には30万円が必要だという。昭和26年当時だから、途方もない額である。しかも、1日1万円の人件費も必要。 しかし、博士は諦めなかった。これは意義のあることだからと説いて回った。やがて、新聞社が協力。地元の花園中学校が人出を貸し、県が出資した。 ようやく30万円集まり、3月1日、発掘作業が始まる。中学生たちは交代制で泥をふるいにかける。この年は雨が多く、泥と水の戦いの連続。30日間、芳しい成果はなく、打ち切りの決断を迫られる。 そんな時、ハス発見の声が。女子中学生のふるいに1粒のハスの実がひっかかかったのだ。さらに2週間後、2粒が見つかる。 費用は50万円、延べ2500人が参加した。博士は「この3粒が出たときははらはらと泣きました」と振り返る。 終戦から6年。米も配給制だった時代。一人の努力型の植物学者の熱意がそれを突き進め、その思いが人々に感染していった。 ハスの実が見つかり、花が咲いた時の喜びはどんなだったのだろうか。想像してほしい。 博士は言う。 「真理のために働く、真理のために寄与したい、という、そういう人が日本人にもっともっとあってもいいと思うんでございます。若い青年男女が金ばかりではなく、真理のために働く、人生のために働く、こうした大きな希望を持つことは本当に日本人にとって大事なことだと思うんでございます」 2千年のハスと言われる大賀ハスだが、シカゴ大の放射性炭素による年代調査では実は3052~3277年前のものとの結果が出た。 しかし、博士はあえて2000年前以上と言っており、定説になっている。そんなところにも博士の徳の高さが伺える。 明日は大賀ハスを見に行こう。 楽天で蓮を探す。 去年の日記は? 2006/07/17 石窯を楽しむ~ピザ焼けました お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[books] カテゴリの最新記事
|
|