自然農50年
向こう側の畑で自然農らしき畑をやっている人と初めて話をした。滅多に出くわすことがなかったのだが、この間と昨日。昨日はたまたまの休息だったのか、こちらを見ていたので話しかけてみた。いやいや大した人だと思った。30の時、出張の新幹線の中で、今では名前は忘れてしまったけれども、耕さない、草いっぱいの中で野菜を作っている人の本に出会って大いに感心し、それ以来、そういう農をやっているんだとか。50年前。30の時ですよ。大した人だと思った。なぜって、高度成長期に入って行った日本。その頃の田舎の若者の多くは都会を目指した。いい会社に勤めて、出世したいとか、金持ちになりたいとか、多くはそういうふうだったと思う。発展が終わってしまった今とは違う。都会に疲れて、でもない。純粋に心惹かれたのだ。30の若者は、中宮寺(この間、上皇様と上皇后様がいらしてたね)近くの湧き水で米まで作っている農家さんの段々畑を借りて自然農に親しんだ。土地を買いたかったけれども、家のローンを払うがせいいっぱいで、自分の農地は持てずに来た。しかし綺麗な水で、土日しか農は出来なかったけれども、それはそれで満足だった。が、やがて地主さんが土地を売ることになり、あまり良いとは言えないけれども、ここに来たのだとおじいさんは言った。見たら分かるけれども、綺麗に耕されたマルチだらけの畑の作物より、虫もつかず、ヘンな草も生えず、野菜が生き生きと育っている。農家でもないのに、50年前、そういう農をやろうと思った人。偉くない?