なんとなく感動!
ある工事の人達が来ている間、ただ見ているだけなのだが退屈で、傍にあった読もうと思いつつ読まずにいた会津八一のことを書いた本をひろげた。こういう本の常で、一番最初は会津八一との出会いだが、それは大学受験に失敗して少しナーバスな日々を過ごしていたのだろう。今まで興味のなかった文学との出会いがあった、それも短歌だった、ということだった。「南京新唱」そこから八一の世界に入り込むわけだが、神田を歩いた話、こだわって手に入れた初版本の話、胸躍らせた奈良への旅の話。こういう書を書く人なら誰でもが書きそうな内容の本ではあったが、真実?思い入れ?なぜだろう、なにかが胸に迫ってくるようで、読みながら涙がにじんで来た。私は会津八一という人の名は知っていても、全然何も知らない。ただ奈良を歌った歌の多いこと。奈良をひどく慈しんでいたらしいことは聞いていた。奈良の某大学は会津八一を収集していたし、友人の友人が会津八一を沢山読み集めていたこともあって、すっかり知った気分ではあったが、今日は読むほどに泣けて来た。勿論悲しい話ではない。思い出を思い出し、懐かしむ。。。誰にでもある昔むかしを懐かしみ愛しむ心が琴線にふれたのだろうな~そうそう、昔は法隆寺も西大寺もたった一人の為に重要文化財の鍵を開けてくれたり、遠方からの人には感謝して宿泊代も採らなかったりと、ずいぶん心温まる話もあった。観光、観光と行って、なんだかんだ人集めに忙しい現代とはえらい違いである。