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いつもいつも 決まって見る夢がある。 私は家の長い廊下を歩いていて 必ず 突き当たりの部屋に入っていく。 そこには古い箪笥とお仏壇とがあって 夢の中で 私はいつもその箪笥の引き出しを開けるのである。 夢はいつもそこで途切れる。 その家は もちろん 今まで行ったこともない家である。 けれど 夢の中の私は知っている。 夢の中で 時には中庭を眺めていたりする。 庭を歩いたりもする。 夢の中で これは夢だと分かっている。 だから「此処」がどこなのか懸命に探ろうとする。 ・・・夢から覚めても 様々なことをはっきりと覚えている。 夢の中でいつも開ける箪笥の色合い。 金具の部分が少し錆びていること。 引き出しを開けるときの少しきつめの感覚。 「ききっ」と音を立てて ようやく開けることができる。 廊下を歩くときの板の音。 部分的に廊下がだめになっていて そこだけは踏み抜かないように気を付けて歩く 夢の中の私。 庭の土は乾いていて 白っぽい埃が舞う。 箒の跡が美しく残っている。 門を出るとバスの停留所があって その停留所の後ろには広い竹林。 道路も白く乾いた土で 殊の外狭い。 家の左側の間取りも覚えていて 今なら紙に書き写すこともできる。 不思議なのは 私は夢の中で いつも1人であるということ。 あんなに家の中、家のまわりを歩き続けているのに 誰にも出会わない。 ふと迷い込んだ空間で 時計もない空間で いつも 1人 佇んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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