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ひよきちわーるど

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2005.11.20
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カテゴリ:万葉染色


先日「聖徳太子と国宝法隆寺展」に行って参りました。

なかでも一番心に残ったのは
「蜀江錦」そして「赤地平絹幡足残欠」。

「赤地平絹幡足残欠」などは、「正倉院展」で展示される時代の染めよりも
また更にひと昔前の技術を伝えるもの、とのことで興味深く見て参りました。




・・・いつも思うのですが
この時代の染色って本当に美しいですよね。

上手く言えないのですが
色それ自体が立体的なものとして目に迫ってくるんです。

かたや 現代の化学染料による染めはのっぺりとして平面的。
見ていてもどきどき感がない。




「蜀江錦」・・・本当にきれいでした。色もデザインも。

本当にこれが1000年以上も昔のものなのかしらと思うくらい。


確かにね それほどの年月を経ているわけですから
色も退色しかけている部分もあります。

それでも 美しさは残っているんです。




変な言い方(笑)ですよね。
退色しかけていても美しさは残っている、だなんて。

でも、本当にそう感じるのです。







そんな風に感じさせるものは
一体何なのかなと思うわけです。








少し前に デパートにて
「大京都展」が開かれていたので行ってみたのですが

その中に染職のお店があったのですね。

で、ストールやハンカチなどを見ていたのですが
どうも・・・何といますか、「どきどき感」が感じられない。





どうしてかな・・と思い 
お店の方に「これは草木染めですか?」と訊いてみましたら

お店の方曰く

「あんな草木染めなんて、すぐ色が抜けるんですよ。
 お客さんからクレームがくるんです。
 だから、今は化学顔料が主流です。」と。








売る側が悪いのか、それとも買う側も同じく悪いのだろうか。

「クレームが来る」→「売れなくなる」→「だから化学顔料にする」




売る側にしてみれば そういうのも分からないでもないけれど

せめて「あんな草木染めなんて」という言い方はやめていただきたいと思った。

その言葉の中には
「売れない物に価値はない。」という意味合いも込められているのではないだろうか・・と思った。





せめて草木染めの美しさを味わった上で

・・・それでも商品として成り立たないから
仕方がないけれど化学顔料にする以外にない・・

そういう気持ちをもって頂けたらと思った。


そうすれば
言葉ひとつにしても随分違ってくるのではないだろうか。








そういうことを知った上で、それでも私は草木染めの世界が好きだ。

あの色は心にまで届いてくる。

草木染めの作品を見たあとでは
自分の心が深く、柔らかになるのを感じる。





・・・そういうときに

人の心というものは平面的なものでは決してなく
実は何層もの構造をもっているのではないかと感じるのだ。





草木染めの色は

人の心の表層部分に
やがて表層から少し奥の層に

そして最後に
心の奥底にまで届くような、そんな気がする。





だから私はこの草木染めの世界が好きなのだと思う。









昨日は桜の葉を使って染色をしてみました。

お鍋のなかで煎じていると
台所がたちまちのうちに桜の葉の香で一杯に。



そう、これは桜餅の香、
そして同じ成分をもつ「藤袴」の香。














1000年以上も昔の人々はどんな気持ちで

どんな表情で

自然の恵みを衣にうつしていったのだろうと思うのです。













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Last updated  2015.12.21 23:47:12
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