799001 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ひよきちわーるど

ひよきちわーるど

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2006.01.31
XML
カテゴリ:万葉染色


以前の私にとって 染色というものは
単なる「くすんだ色」というイメージしかありませんでした。

けれど数年前、万葉サイトの友人の万葉染色を拝見し
その先入観は一掃されることになります。


紅花染色の画像を拝見しまして
植物からこんなにも美しい染めができるのか!と驚いたのです。

しかし、それでも、私にとりまして
染色は遠い世界のものでしかありませんでした。





私が染色の世界に足を踏み入れるきっかけとなったものは
吉岡幸雄氏のご著作です。

そして2002年春に刊行された「家庭画報」という雑誌。

そこには古代の染色法をそのまま取り入れる
吉岡氏の美しい世界がありました。






「家庭画報」の中の あるページに目が釘付けになりました。

吉岡氏が蓼藍の生葉染めをなさっているのです。
その色のなんという美しさ。

そしてその色は 蓼藍の葉と水と少しの酢から生まれているのです。




薬品を一切お使いにならない技法。
その上でこんなにも美しい色が染め上がるのです。

当時の私にとりまして驚きでした。
まるで魔法のようだと思いました。






どうしてそれほどまでに その生葉染めに惹かれるのか。



私にとりまして「空の蒼」は生きる喜びに繋がっているのです。

幼い頃 交通事故により4ヶ月もの入院を余儀なくされましたが
入院して1週間後 意識を取り戻した私の目に入ってきたものは
病室の窓に広がる空の青さでした。

その青さを 30年以上経った今でも忘れることができないのです。

吉岡氏の生葉染めの画像を目にし
あの時の空の青さを思い出したのです。





薬品を一切使用しない方法で染色をします時
最も困るのは「紅花染色」です。

私自身、今まで成功した試しがない。

いや、正直申しまして
成功なのか失敗なのかさえ分からない。

手探り状態です。




紅花をね、冷たい水の中で揉み 
黄色色素を出し切ることはできるのです。

これは時間と根気があれば可能です。

冷たい水の中で揉み続けていますと その水の冷たさに
手首や、しまいには両腕まで痛くなって参ります。

けれど紅花には血行をよくする作用がありますから
揉み続けていますと 最後には手がぽかぽかしてくるんですね。

これは本当に不思議です。
そのぽかぽか感は何時間も持続するのです。





次いで 黄色色素を出し切った紅花に稲藁の灰汁を注ぐのですが
いつもここで失敗するのです。

本には「紅花に灰汁を注ぐと紅色色素が抽出される」とあるのですが
実際に灰汁を注ぎましても 
いっこうに紅色色素が抽出されないのです。

抽出できたとしましてもほんのわずか。

これで染色ができるのか?と言いたくなるくらい
僅かな色素しか取れないのです。



何処か手順をまちがえたのだろうかと頭を抱えるのですが
誰に訊いて良いものか分からない。

また教えてくれる人もいないのです。






・・・灰汁の中にリトマス試験紙をつけ、
実際に灰汁がアルカリ性になっているかどうかを確認。

試験紙が微かに青く変色していますので
辛うじてアルカリ性を保っているということは分かるのですが
当然のことながらPHまでは分からない。



稲藁を燃やす量を倍にしてはどうだろうかと思ったり
水がいけないのだろうかと思ったり

米酢を入れるときにまちがえたかなと思ったり

思いつくだけのことを実行に移してみるのですが
それでも色鮮やかな紅色を出すことはできないのです。






確かに薬品を使えば簡単です。

稲藁の灰汁など使わずに炭酸カリウムを使用すれば
おそらくは染色作業の能率も上がることでしょう。

茜染めだって面倒な椿の灰汁など使わずに
酢酸アルミニウムで代用できるのです。






けれどどうしてでしょうね(笑)。
薬品など使わず どうしても古代の方法でやってみたいのです。

必死になって染色に取り組みながら 心の何処かでは
「どうしてこんなに一生懸命なのだろう」と
自分でも可笑しくなってしまうのですね。


きっとこれからも 分からないことが起こりますたび
1人で煩悶しながら 
前に進んでいくことになるのでしょう。





薬品を使わない染めものってね
何年経ちましてもとてもよい香りがするのですよ。

2年前に玉葱で染めました木綿を 
このたび箪笥から出してきたのですが
ほんのり椿の灰汁の匂いがするのです。

甘く ほっとする香り。

2年経ちましても 箪笥の中で
その香りをとどめておいてくれたのですね。






昨夏 お友達と一緒に挑戦しました蓼藍の生葉染め。

とても好評でしたので 今年の夏にもやってみるつもりです。









・・・32年前、ベッドにかたく固定されたまま
身動きも取れないなかで見上げた空の蒼。


藍の生葉染めをすれば
その蒼さに もう一度出逢えるのです。

そのことを思いますと
ほんの少し 心が明るくつよくなっていきます。






ひと雨ごとに外気も暖かくなり
地面からは ハーブや多くの草の芽達が
顔をのぞかせてくれることでしょう。




藍の種を畑にまくのも
きっと もうすぐのことです。














お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.12.08 02:23:56
コメント(0) | コメントを書く
[万葉染色] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X