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カテゴリ:思い出の人
九州で生まれ育ったひよきちではありますが ここ関西の血と長野の血が入っています。 母方の祖母が代々長野の人だったのです。 母方の祖母は「知代さん」という名で 幼い娘を遺し 30代前半でこの世を去っています。 3人目の娘を生み終えたあと産後の肥立ちが悪く 持病の喘息も加わり あっというまに亡くなったと聞きます。 おそらくは体もさほど強くはなかったのでしょう。 周りから 結婚生活を無事に乗り切れるかどうか心配された彼女は お嫁入りの際には 身の回りのことをしてくださる方も一緒だったと聞きます。 知代さんが我が子を抱いている写真など1枚もなく 僅かに残された写真の中では 娘たちはいずれも他の方に抱かれているのです。 知代さんの亡くなったのも戦時中のことでして 遺された祖父は まだ幼かった3人の娘を 必死になって育ててくれたわけです。 そしてしばらくしてその家には 新しい母親となる女性が嫁いできます。 その女性が 今では90代になる元気な祖母です。 確かに私自身、その祖母とは血が繋がっていないわけではありますが 祖母はいつ会っても元気で 同じ女性としてみても本当に愛らしい人なのです。 嫁いできても、自分の子供を産むこともなく 先に亡くなった前妻の娘3人を愛情深く育ててくれたのです。 ・・・・私の母は 知代さんの実家の祖父母を知りません。 無理もありません。 本当の母である知代さんが亡くなったとき 母はまだ2歳の小さな女の子でした。 今思いますに、祖父は 知代さんの実家の親族とうまくいっていなかったのではないか、と。 いや、うまくいっていたはずが 知代さんの早すぎる死によって その関係がぎくしゃくしたのではないだろうかと。 知代さんの実家の親族が 遺された幼い娘3人を引き取ると行ってきたのを振り切るようにして 祖父は九州へ行ったと聞きます。 戦時中のことです。 祖父も、知代さんの実家と連絡をつけることもなく そのまま時が過ぎていったのだと思います。 知代さんのお墓は今も長野にあります。 ただ、そのお墓が何処にあるのか 最近までわかっていなかったのです。 母や、母の姉、妹が記録を頼りに探し続け ようやく判明したとも聞きます。 ただ、今の時点で母たちが 知代さんのお墓に詣でることはないとも聞きました。 幼い頃から必死になって育ててくれた祖母のことを思えば 自分たちの本当の母の墓にお参りに行くことなど 考えられないというのです。 私が初めて長野の地に行きましたのは 大学3年の夏のことでした。 クラブでの合宿です。 遠くに八ヶ岳が見えました。 自分の生まれ育った南国とは違った風が吹いていました。 この地のどこかに 知代さんは眠っているのだろうなと思いました。 おばあちゃん、 私、貴女の生きていた場所にやってきたのですよ と 心で語りかけました。 鏡を見るたびに 知代さんのことを思うのです。 彼女と私とはうりふたつなのだそうです。 自分の持病を思うとき おそらくは彼女の体質をも受け継いでしまったのかなと思うわけです。 そしてもうひとつ。 彼女から受け継いだものがあります。 信仰です。 彼女の遺品の中に法華経の経本があります。 60年以上もの時を超えて 幸せであれとの思いを込め 彼女が私に贈ってくれたのではないかと思うのです。 ・・・20歳の時に初めて見た長野の山々。 おそらくは知代さんも眺め そして彼女を愛していたその両親も眺めていた山々なのでしょう。 大切にしていた娘を早くに亡くし そして孫娘たちさえも遠い九州に行ってしまったとき 知代さんの両親は 一体どのような思いでいらしたのだろうと思うのです。 何十年という長い時を超えて 今、知代さんの面影をそのままのこしている私をご覧になったならば どんなに懐かしくお思いになったことだろうと思うのです。 いつか、私の娘を伴って 知代さんの眠る長野の地を訪れてみたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.11.10 23:26:48
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