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ひよきちわーるど

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2006.12.15
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カテゴリ:生きていくこと


12年前の朝、大きな揺れで目を覚ましました。
地震だと思い、とっさに夫の上に覆い被さりました。
箪笥の上に置いてあったものが次々に背中に落ちてきました。

逃げ道を確保しなければと窓を開けると、道路に新聞配達の方が倒れていました。
そばには新聞の束が散らばっていました。

「大丈夫ですか?」と声をかけ無事を確かめます。
その方とお互いに「今のは大きかったな・・」と話しまして
その方も「はよ帰るわ。」と急いで自転車に乗っていかれました。



慌ててテレビをつけますと アナウンサーの方が
髪を手櫛でときながらマイクに向かっていました。
震源がどこかもまだ分かりませんでした。

やがて阪神地域が震源であることを知り
そこには母の親族が集中して住んでおりますので
電話が通じるうちにと連絡を取ります。

家の中はめちゃくちゃになったのこと。
食器が床に落ち全て割れてしまい、家具があちこちに飛んでしまって
家の中を歩くことも出来ない様子でした。




・・・数日後から信仰を同じくする方々と一緒に
神戸に救援物資を届けることに致しました。

私たち主婦がおにぎりを作り生活用品を用意し
それらのものを若い男性の方々がバイクに積んで神戸へ。

毎日毎日一升炊きの炊飯器をフル稼働させ
ひたすらおにぎりを作り続けました。

おにぎりを包むサランラップの中に
「頑張ってください」と書いたちいさなお手紙も一緒に。



一緒におにぎりを作っていたおばさまの言葉が今でも忘れられません。

「ええか? こういう時にはな、おにぎりは一人に一個しか渡されへんはずや。
 せやからなるたけ大きいおにぎりを作るんやで!
 神戸の人たちにひもじい思いさせたらあかんで!」





テレビの画面では神戸の街並みが映し出されていました。
地震の起きるつい12時間前まで 私と夫は神戸の街にいたのです。

・・・・信じられない思いでした。



お昼間はみなさんと一緒におにぎりを作り忙しくしておりましたが
夜になり ふと自分の心の内をかえりみますと
実に様々な思いがあったわけです。

当時私は妊娠初期の身でして無理をすることが出来ませんでした。
直接神戸に行き何かをするということが出来なかったのです。
そのことに対し申し訳ないという気持ちもありました。

自分と同じく妊娠している方々の身を案じ眠れぬ夜もありました。
国の対応のまずさ、マスコミの愚かさに激怒しました。



地震直後は気も張って心身共にバタバタしておりましたが
ふと気付けば 自分の中に
「何故阪神地域の人々が震災に遭うのか?」という思いがあったのです。

・・・どこの誰が震災に遭ってもおかしくないのだと思いました。



夜中に(おそらくは間違い電話なのでしょう)
よく電話がかかってきました。

それも夜中の2時、3時にです。
暗闇の中、鋭い電話の音におこされ
電話にでようとするとチン、と切れるのです。

電話の音の消えたあとは怖ろしいほどの静けさに戻り
そんな中 未だ救出されていない方々のことを思い
まんじりともせず夜明けを待ったこともありました。





阪神高速が倒れ ビルが倒壊し 人工島では液状化現象。
盤石なものとして自分の目にうつっていたものが悉く破壊されたのです。

この世において真に盤石なものなど何一つとしてないのだと
私たち人間に「よって立つもの」はないのかと
言葉では言い表すことのできない怖れがずっと心にありました。






その 言葉に出来ぬ怖れを
震災から8年経ったある日
万葉集のサイトにて見出すこととなります。


家にてもたゆたふ命波の上に浮きてし居れば奥処知らずも


この平成の世で人々が感じたであろう思いを
遙か1000年以上の昔に詠いあげた人がいたのでした。






今、私の手元には一通の手紙があります。 
震災の夜、夫が 私のお腹の赤ちゃんに宛てて書いた手紙です。

「拝啓 今日は兵庫県南部地震があったその日の夜です。
 神戸では多くの人の命が失われ、生命の尊さを改めて感じさせられる日でもあります。

 そんな日に、これから生まれ、育っていくあなたのために
 この手紙を書き残しておきたいと思います。」


・・・このような書き出しで始まっていました。



この日のことを決して風化させることなく
そしてこのことは決して他人事ではないのだということを
深く心に刻みたいと思います。















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Last updated  2015.08.20 00:05:34
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