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ひよきちわーるど

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2013.07.31
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カテゴリ:思い出の人


昨日の日記に引き続き、心はてんやわんや状態でありながらも
家の中の大改造を少しずつ進めている。

進めているとは言っても、大改造終了を「1000キロメートル達成!」とするならば
毎日の進む距離は1センチほど(涙)。
泣きの涙である。



先日は、大学時代の音楽テープを少しだけ整理。

さだまさし、オフコースなど 懐かしい顔ぶれの中
大貫妙子のテープが出てきた。



・・・この人の曲については 数年前、この日記にも書いている。

そして この曲とともに浮かぶ懐かしい人がいる。



今日は、数年前の日記をここに再掲します。
(年数につきましては適宜修正しての再掲であります。)





……………………………………………………………………………






今日は 正真正銘 恋のお話である。


もう30年以上も昔のことになってしまうけれど
彼は理系出身、毒舌家であった。
そして 決して優しさを前面に出すことのない人であった。

それでも時たま 驚くぐらいの優しさを見せる人でもあった。



お付き合いしていた頃、彼から 
大貫妙子のテープをもらったことがある。

「僕はこの人の名前が好きです」というメッセージ付きで。


早速テープを聴き、この歌い手の声、そして彼女の持つ
独特の世界にひきこまれてしまった。

中でも「突然の贈り物」は私のお気に入りの曲となった。





たった一度だけ 彼に
「きれいになったね」と言われたことがある。

生まれて初めてのことだっただけに 私はひどくうろたえ 
手をバタバタさせながら必死に否定し、気がついた時には
「そ、そんなこというものではありません!」と口走っていた。



・・・・でも、その時の一言は嬉しかった。

「きれいになったね」と言ってくれたときの
その人の表情、声の響きまで 全て覚えている。

29年経った今でも。



やがて 遠距離恋愛だった私たちはお互いの場所でそれぞれに好きな人ができ 
お付き合いも1年で終わりを告げるのであるが、

1度だけ 彼に「今度の彼女はどんな人なの?」と
(大胆にも)訊いたことがある。


彼はちょっと後込みをしたあと その人の写真を見せてくれた。

「この人、○○(ひよの名前)さんに・・・似てるんだよね」と言いながら。



どれどれ。
ちょっぴりおどけながらその写真をのぞき込んだ私は 
何と言うべきか・・・苦笑するしかなかった。

彼の言うとおり その人と私はまるで姉妹のようだった。
彼によると声まで似ているという。


・・・こういうとき、私は何と言って
この場を切り抜ければよいのでしょう。

写真に向かって「おお!お姉様!お会いしとうございましたぞ」
などと お馬鹿なことでも言えばいいのだろうか。



今度は彼が 私の新しい相手の写真を見た。

「背の高い人だね」



・・・そうだね。


そう返事しながら お互いにふっと笑った。

もう、私たちは恋人同士でも何でもない。
でも こうして機会があると会っている。

この人とは 恋愛感情云々というようなものから外れたところで
良い友情を築いていけるのではないかと思った。

・・・そんなことを 考えていた26歳の夏。





いつだったか その人からの最後の手紙にこう書かれてあった。

「あなたの1番良いところはその心のきれいさだと思う。
 それって眼にも見えないし、耳にも聞こえないけれど
 いつまでも大事にして欲しい」

うーん・・・・なぁんで最後の最後になって 
こういう事を言うかなぁ、あなたは。

私はね、あなたのこと こんなことを言うような人だとは
思っていなかったのだよ。
もっと私に関して無頓着な人だと思っていた。

あなたが私のことどう見てるかなんてちっとも分からなかった。



それにしても あなたとはよく喧嘩したね。
それぞれ 余りに主義主張が違っていたものだから 
会うといつも喧嘩になった。

でもね、変に相手に気を遣って何も言わないよりは、
こうやってお互いの考えをぶつけ合う方が私は好きだった。

本音でポンポン答えを返してくれるあなたが好きだった。




最後に逢ったときのこと覚えてるかな。
あなたはお気に入りのカメラで私を撮ってくれたね。

写真を撮られると魂を吸い取られる・・・と怖れていたわけではないけれど
私は再三辞退した。  照れくさかったから。

けれどあなたは静かに笑いながら 何枚も撮ってくれた。

「26歳のあなたは 一生のうち今しかいない。
 時が経てば少しずつ変わっていくのだから 
 今のあなたを撮っておきたいだけ」と言ってくれた。



今、私の手元にその写真がある。
その写真の中の私は あなたに微笑んでいる。
26歳のままの自分だ。



・・・思えば その人は11歳から26歳までの私を見てくれていた。

自分で言うのもおかしいことではあるけれど
その人は 私の一生のなかで1番きれいな時期を見てくれていたことになる。
(娘18 番茶も出花 と言うではないか)




人にはそれぞれ 優しさの表現方法があるけれども 
その人の優しさに、私は最後の最後になって気付いた。

最後に逢った日、車で送ってくれたのはいいのだけれど、
その場所というのがお互いの実家の中間地点なのだ。

何でこんなところで降ろすかなぁ(笑)。

何も私の家の前まで、そして玄関先まで、と言うわけではないけれど 
もうちょっと場所というものを考えてくれてもいいのではなかろうか。

ふとそう思ったけれど、その人はそういう人なのだ。
そう思ったら何だか可笑しくなった。

はっきり言って 私のことをか弱い女性だと思って接してくれるわけではない。
荒野のど真ん中に1人取り残されても、力強く生き残る・・・・
そんな女性だと信じて疑わなかったようである(笑)。






・・・車から降りて その人の車を後ろから眺めた。

案の定 その人は前方を見ている。
こちらの方を見てバイバイと手を振ってくれるような、そんな男性ではないのだ。

そんなの百も承知だ。
そんなべたべたしたことをするような人ではない。

その人らしいなと思い、
そうだ・・・今日で逢うのも最後だからと思い、
私は前だけを見続けているその人に軽く手を振った。

その人には分かるはずもないと思った。

それに その人に手を振るなんていう、そんな可愛いこと 
私にとっても初めてだった。
いつも会釈ですませていたから。



そう思いながら手を振りかけた途端、
それまでじっと前だけを見つめていたその人が 突然
車のルームミラーに向かって手を振りかえしてくれた。

それを見て驚くのと同時に、
ああ、この人はそういう人だったのだと改めて思った。
私に関して無関心だったわけでも、無頓着だったわけでもなかったのだ。

バイバイと笑顔でもって手を振ってくれるタイプではなく
(そう、優しさというものを前面に押し出す人ではなく)
無関心を装いながらも 私の気付かぬところで
ちゃんと見てくれていたのだ。

今まで 私はそれに気付かなかった。





・・・・・今初めてその人に出逢ったところで
私はその人に対し 恋心を抱くようなことはないであろう。

時の流れと共に 私も変わってしまった。
 

毒舌を受け止めるだけのつよさも、今の私にはない。

まるで謎解きのような会話を楽しむよりは、
率直で素直な 温もりのある会話を愛するようになっていった。






今日は 本当はこんな日記を書くはずではなかったのだが、
偶然昔のテープを見つけ ほんのちょっぴり
懐かしさに浸っただけのことである。

大貫妙子のこの曲を聴くのも 29年ぶりのことだ。





      突然の贈り物 

      甘く香る花束 

      頬を寄せて 

      抱きしめる温もり

      ・・・・・・・

      初めて出逢ったときのように

      心が震える

      ・・・・・・・・

      幸せでいたなら それで良かった












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Last updated  2013.07.31 09:32:05
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