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カテゴリ:読書
本を読むことが結構好きでいろいろ読んでいるのですが、
つい最近読んだこの本、おもしろかったので書き残しておきます。 もともとどうしてこの本を選んだのかと言うと、Sunday Morning Postの本特集のページで、長い間ベストセラーに名をあげていたから。 数学が得意な15歳のクリストファーは子供のころから自閉症だ。 黄色が極端に嫌いで赤いものが好き。食べ物もこの法則にしたがうので、黄色いものは絶対食べず、赤いものを好んで食べる。人に触られるのが嫌いで、それを知らずに彼に触れた人はえらい目にあう。人ごみが嫌いなので繁華街やショッピングモールには行けず、乗り物にも乗れないので自分が住んでいるエリアからほとんどが出たことがない。こんなクリストファーの隣の家の犬が何者かにフォーク(農具)で殺される。そして彼はその犯人を見つけるために、聞き込み調査を始める… このあたりは高校生探偵のマーダーミステリーなんだけれど、読み進めるうちにまったく違う展開になっていく。 彼の母親は2年前に心臓発作でなくなり、今は父親と二人暮しをしているのだけれど、聞き込み調査をしていくうちに、母が犬を殺されたおうちのだんなさんと浮気をしていたことを近所のおばさんから聞くあたりからどんどん話はおもしろくなってくる。 後半は人ごみが苦手、大きい音が苦手という数々の自閉症の症状を乗り越えて、一人でロンドンまで行き着くというアドベンチャー小説になっていく。 パニック状態に陥る彼を救うのは頭の中で2をかけ続けて行ったり、数学的な法則を見つけてそれを計算するのに集中したりする。それがすべて本の中で絵になったり数式になったりして、数学の弱い私には結構つらい。 一見、このアドベンチャーのおかげで病気を克服するのかと思いきや、そうではない。でも彼の人生が明るく開くきっかけとなったのは確かだ。最後はハッピーエンドですっきりと読み終えることができた。私はクリストファーの両親の立場から読んでしまいがちで、途中とてもつらくなってしまう箇所もあったし、クリストファーの信用を無くしてしまった父親の扱われ方もとても悲しかった。でもそういうつらさや悲しみがすっと解けてしまうようなすっきりとした終わり方がこの本の魅力かな? 英語もシンプルで読みやすいので英語の勉強をしている人にはぴったりなレベルだと思う。 そういえば、クリストファーの視点から一人称で淡々と書かれた文体は「アルジャーノンに花束を」に似ているかもしれない。ねずみのペットも出てくるしね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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