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カテゴリ:映画
1950年代 アメリカの炭鉱町で育った高校生4人がロケットを飛ばす夢を追い求める青春映画。
時代的にはアメリカングラフィティーと同じぐらいだと思うけれど、原色のものが少なくアメリカの暗い部分をこれでもかと見せてくれる作品。 1957年10月 アメリカよりも早く、ソ連が人工衛星打ち上げに成功しました。その光る物体が夜空をすーっと動いていく姿を見て、ホーマー少年はロケットを作ることを決心します。 彼が生まれ育った場所は炭鉱以外何もない小さな町、住民のほとんどが炭鉱で働き、その町の高校に通う男の子達には何の将来もなく学校を卒業すれば炭鉱で働くしかなかったのです。しかし、その炭鉱は落盤事故が後を絶たず、ストライキ闘争があったりと決して安定しているわけではなかったのです。彼の父親も炭鉱の責任者として山(炭鉱)の男と呼ばれ皆に頼られている存在でした。息子達も卒業後は自分のあとを継いで炭鉱で働くものと決め付けていました。しかしスプートニクを見たホーマーは友人に声をかけてロケット作りをはじめたので父親はそんなホーマーにまったく理解を示しません。 ある日、ロケットの試作品を持って学校へ来たホーマーたちは校長先生に注意をされるのですが、そこへ科学の先生がやってきて、州の科学コンテストに出るために私がやらせていると嘘をついて助けてくれます。ひょうたんから駒で、本当にコンテストに出場することになり、そこから一気にロケット作りが加速していくのです。 この先生の存在がこの映画ではものすごく大きいです。 このお話、実話です。ロケット作りに取り組んだ4人の少年の一人が書いたお話を映画化されたのですが、彼は科学コンテストで優勝、奨学金をもらって大学へ進み、後にNASAで働きました。 実話だと言っても信じられないほどこの映画はDepressionに支配されています。とにかく暗いです。途中真っ赤なスポーツカーが出てくるのですが、その時初めて原色が出てきたような気がして、本当に良い演出だと感じました。それぐらい暗いのです。 その暗さに耐えられず途中で何度も涙が出ました。特に、ロケットの打ち上げが成功して町のみんなから支持されたと思ったところで、濡れ衣だったのですが火事の犯人にされて警察につかまったり、その後、炭鉱の事故で父親が大怪我をして、本来なら長男がいるのに、長男がアメフトで奨学金をもらって大学入学が決まっていたため、ホーマーが働きに出ます。 炭鉱の中におりていくリフトに乗りながら、スプートニクが飛んでいる姿を仰ぎ見る姿はものすごく悲しいです。 しかし、ここで働く間に彼はロケットが飛ぶ距離と時間の関係を自分で計算して、友人と一緒にロケットが落ちている場所を突き止め、火事の犯人ではなかったことを証明します。そしてもう一度科学コンテストに出場することを決意して復学します。 怪我からなおって戻ってきた父親が、息子に学校に戻ることをすすめず、炭鉱で働くことをすすめたシーンはものすごくつらかったです。 最終的に科学コンテストで優勝して、最後の打ち上げの現場に父親が来てくれてハッピーエンドとなるのですが、この最後の10分以外は本当に重苦しい映画でした。 本のタイトルはRocket Boysですが、これを並べ替えてOctober Skyとしたことを著者のサイトで知りました。スプートニクが飛んだのも10月 上手いこと作ってるなと思いました。 音楽がアメリカングラフィティーと同じ物が多く、暗いアメリカングラフィティーに位置付けられると思います。最後に4人の少年、家族、先生がその後どうなったかを見せているところもアメリカングラフィティーと同じだったので、意識してそう作られているのかもしれません。 良い作品ですが、暗い映画が苦手な人には向いていないかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.12.12 16:43:25
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