カテゴリ:派遣会社・派遣労働者
午後3時頃、携帯にワンギリ着信した履歴を見た。カネのない派遣社員は、返信して貰わないと通話できないのである。亀山にいたころ苦労をさせられた元部下からだった。名前を見ただけで何の話かは想像がついた。やぶ蛇と承知の上で話を聞いた。
今は三重県松阪市にある派遣会社の借り上げアパートにいる。今月4日までパネル関係の製造に従事していたが11月4日に「あと1ヶ月でこの現場はおしまいになる」と言われたとそうだ。 彼は2つの事を派遣会社の現場管理者(←私はこれをやった事があるが・・)に約束させたという。 1)次の仕事を探して下さい 2)仕事が終わっても次を見つけるまでの間、寮に住ませて下さい 現場管理者が彼にどう答えたのかを想像するに以下の通りである。 「まず次の仕事の件ですね。○○さんは今まで当社のスタッフとしてお勤め頂いてますので当社の営業が○○さんの条件にあう現場を探しています。ですが景気が急激に悪化していますので、すぐに見つかるかは約束できません。 そこで寮の件ですが12月4日までが派遣期間ということで、それ以降も当社の登録スタッフとして求職中になります。ただし期間終了後2週間以内に当社が斡旋できるお仕事が見つからない場合退寮していただくことになります。 いま私が約束できるのは、次の仕事を探しているという事と期間終了後2週間は寮に居ていただいて結構だという事です。既に期間終了が決まっているので、ご自分で職安や面接に行くために休暇を取られる場合、遠慮なく私に電話くださいませ・・」 本人は「あす久居に面接を受けに行くんですけど・・電車賃がないんです」と言った。 そこから聞きいてゆくと上記のような話であって、明日面接に行くんじゃなくて、明日派遣会社の寮から追い出されるという話だった。 「失業保険の手続きはどうなってるんです?会社都合での退職なので離職票をもらってすぐに職安にいけば1週間後の翌日から受給開始になるはずだけれど・・」と私が尋ねると 「会社に話をしても同時期に多くの社員の手続きをしないといけないしぃ・・日系ブラジル人がたくさんいて・・」とか関係のない話が返ってくる。いつからその現場にいたのか、その派遣会社でその現場以前に働いた事があったのか、派遣会社名すらもとうとう言わずじまいだった。 聞いている私はじれったくなった。電話でなく直に合っていたら一通りを聞き出しただろう。けれど話を聞き出してしたら当方も第三者ではなくなってしまう。彼を刺激する言葉を飲み込んで、ただ話を聞いた。 社会保険に加入したのは6月18日からだという。派遣期間が終了したのが12月4日、派遣会社の寮を退去するのが12月17日。ちょうど半年じゃないのだ。17日に退去するって事は12月16日で派遣会社との契約は終了している。会社都合であろうとなかろうとあと一日足らないので、雇用保険受給申請はできないのだ。 上記の事情や日系ブラジル人が多い現場と聞いて、まともな社会保険手続きをする派遣会社とは思えない。 私に電話するのなら11月4日に「急に派遣期間終了の告知を受けました。どう返事すればいいのでしょう」とかけてきてほしかった。 その時点でなら派遣会社とどう話をすれば良いのか。最短で失業保険を受給する手順など実践的なアドバイスができた。しかし既に派遣契約は終了して、今日で派遣会社とも切れるという話ができてしまっている。今となっては後の祭りである。 今日、松阪市役所へ生活保護の申請に行ったという。担当者に「非常に珍しいケースです」と言われたそうだ。住民票を松阪市に移したのがいつであったのかは聞いていない。ただ住民票の住所から明日は出て行かねばならない。 失業保険も生活保護も申請要件を欠いている。 そもそも申請する資格がないのだ。 明日面接に行くための交通費相当額を、彼の口座に振り込むことにした。 彼と私は同じ銀行に口座を持っているので手数料ゼロで送金可能だ。 彼が強がりの嘘を付いているので、その言葉を疑わぬふりをした。 自分が偽善者である事に今更ながら気付いた。 派遣会社やメーカー、職安に市役所の担当者も適当に逃げるだけなのだ。 救いようのない話である。 追記 なぜこんな話を書くのか、読まれた方は疑問を持つでしょう。 私も読み返してはじめて自分の心の底が見えた気がしました。 この件は「自分の心を閉ざしていては、誰もあなたに心を開きませんよ」と教えられた気がします。「自分で否定的な眼鏡で世の中を見ていると取り返しの付かないミスをしますよ」という啓示だったようにも思えます。 電話の向こうにいるのは昔の私ではないかとも思えました。 今日の朝にわずかな送金をします。彼には「面接を受けた後にまた電話を下さい」と言いました。 しかし勝ち気な彼の性分では、むこうから電話をかけてはこないはずです。 2日後ぐらいにこちらから電話しようと思いますが、どう切り出すはまだ考えていません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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