週末は田舎で野良仕事。

西武秩父線が全通して今年は４０周年とのことである。

それ以前は、飯能駅で徐にスイッチバックして反対方向に向きを変えた列車は高麗郷を経て山あいの吾野駅までしか開通しておらず、都内方向から鉄道を利用して秩父に向かう方法は主に、高崎線を利用して熊谷駅経由で秩父鉄道に乗り換えてトコトコと普通列車で入って行くことが多かった。

おらも小学校高学年からそれ以後の学生時代は千葉県に住んでいたので、秩父に住む祖母や叔母、母方の親戚の元を訪ねる折は、この熊谷経由の旅程で一日を費やしたものだ。

飯能市の吾野地区と秩父盆地の間に聳える奥武蔵山地の直下に正丸トンネルを掘り、池袋・秩父間が直通したのは昭和４４年、おらが高校３年生の頃である。

もう４０年も経過したのかと改めて時折感慨にひたることもあるが、晩秋のこの時期に入間市駅から西武秩父駅まで、この西武鉄道で往復するのもクルマを運転して２９９号を走るのとは違った趣きがあって好ましいものである。

飯能で向きを変えた電車は、市街地を過ぎるとやがて山あいを走るが、車窓からはのどかな山里の秋の風景が拡がる。さまざまな作物を庭や畑で育てている。深まる秋に向けて、収穫を急ぐ人々の姿も目につく。週末に野良仕事を始めてからこういう風景を観察することが愉しみのひとつになった。新しい発見がある。　　　　（つづく）