週末は田舎で野良仕事。

飯能駅からは東飯能、高麗、武蔵横手、東吾野、吾野、西吾野、正丸とそれぞれ景観に趣きのあるローカル線の駅が続いている。高麗駅から先は数多くの奥武蔵ハイキングコースの拠点となっている山あいの駅である。特急レッド・アローはこれらの駅には停車せずに進むが、鈍行の電車は各駅停車で時間に余裕があるならこちらのほうが生活感にあふれている。

昔といっても比較的最近になるが、この沿線の山にはこれらの駅をベースにしてよく登ったものだ。およそ奥武蔵、奥多摩の主だった山には足跡をこの間に留めていると云ってもよかろう。

電車は国道２９９号線と高麗川に沿いながら、それらを縫うように山あいを走り、やがて正丸トンネルの漆黒の闇を抜けると、秩父盆地に入って行く。

最初の駅が芦ヶ久保。果樹公園があり、イチゴやブドウが栽培される。２９９号線沿いには「道の駅　果樹公園あしがくぼ」があって、秩父郡市の特産物が入手できる。おらも道すがらよく利用している。
今時分は椎茸などのきのこ類、カブ、ダイコン等の根野菜や葉野菜の新鮮なものが手に入る。

山腹に観える木造校舎の芦ヶ久保小学校は最近、生徒不足から廃校になったと聞いた。

横瀬駅、ここは秩父の盟主、武甲山のふところの駅である。三菱マテリアルの大きな工場もある。特急レッド・アローの停車駅でもある。

そして電車は羊山公園を抜けて盆地の中枢部に向かい西方から大きく弧を描きながら西武秩父駅へと入線するのである。入間市駅を出てから、レッドアローで約４５分の道のりの小旅行である。長からず、短からずのちょうど良い行程だ。

平年ならばこの時期は、紅葉目当ての行楽客で賑わうのが常だが、この週末は曇天から雨天という悪天候で、比較的閑散としていた。駅前の公孫樹の黄葉が始まっている。